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プロ野球

【斉藤和巳のセ・リーグ順位予想】ヤクルト以外が混戦模様!?「ブルペンに活気を感じた」中日の躍進に期待!

斉藤和巳

2020.03.25

 一方、阪神は兎にも角にも打線でしょう。期待されている選手が毎年、それに応えることができていません。ベテランの糸井嘉男、福留孝介に頼っているようでは厳しいですね。彼らをしっかり休ませながらプレーさせる環境を作らないとダメです。ピッチャーも、藤川球児は素晴らしい投手ですが、彼を抑えから押し退けるくらいに勢いのある選手が出てこないと。一年だけでなく、継続して活躍できる選手が出てきてほしいですね。

 巨人も阪神もマスコミがうるさいチームではあるので、選手はそうしたプレッシャーとも戦わないといけないのは大変ではあります。特に阪神はより厳しいので、若手が出づらい環境なのかもしれませんね。ただ、シーズン終盤は6連勝を挙げて大逆転でCSに進出したように、そういう力はあるはずですから、頑張ってほしいと思っています。

 DeNAは筒香嘉智(現タンパベイ・レイズ)の穴も大きいですが、リリーフ陣がカギでしょう。なかなか山﨑康晃の前の投手が固定されないですし、連勝したら連敗する波の大きさも気になります。結局は先発陣がまだまだなので、安定した戦いができないんでしょうね。

 筒香に代わる新キャプテンの佐野恵太への期待は大きいです。ただ、今までレギュラーで出場していた選手ではないだけに、過度の期待は禁物です。周りがしっかりサポートして、筒香の穴を埋めていきたいです。
 
 ヤクルトは投打ともに不安要素しかないです。バレンティンがソフトバンクへ移籍してしまったので、誰が代わりに4番を打つのか。打撃のチームだけに、得点力が落ちてしまっては苦しいでしょう。首脳陣は攻撃力がダウンした一方で守備の面でプラスαがある、というコメントをしていますが、はるかにマイナスの方が大きいのでは?

 ドラフト1位の奥川恭伸は非常に高いポテンシャルを持っていますが、投手がいないからといって、彼をすぐに一軍に上げるようなことをしては、木を見て森を見ずという感じです。将来のヤクルトを担う選手なので、大事に育成してほしいと思います。どんなに苦しくても、今後数年を見据えて、しっかり時間をかけて、我慢することが大事です。

 いかに先発を育てていくか。ベテランの石川雅規が開幕投手になるようでは、本当に苦しい。小川泰弘も含めて、彼らをローテーションの4番手、5番手に追いやるような選手が出てこないと。石川は素晴らしい選手ですし、僕の中では最も過小評価されていると感じています。

 あれだけ小柄な体格にもかかわらず、大きな故障なく、ずっと一軍で投げ続けるのがどれだけ難しいことか。僕はその難しさがよく分かります。だからこそ、石川という素晴らしいお手本が身近にいるのですから、若手は気持ちの面も技術的な部分も、彼から多くを吸収して成長してほしいですね。

【著者プロフィール】
さいとう・かずみ/1977年11月30日、京都府京都市出身。1995年ドラフト1位で福岡ダイエー(現ソフトバンク)に指名されてプロ入り。2003年にパ・リーグ18年ぶりとなる20勝の大台をクリアし、最多勝・最優秀防御率・最高勝率のタイトルを獲得して沢村賞に選ばれた。06年にはプロ野球史上初の開幕15連勝を達成するなど、史上7人目の投手五冠を達成して自身2度目の沢村賞を受賞。その後は故障もあって13年限りで現役を引退し、以降は評論家・解説者に転身。
 

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