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【MLB今日は何の日】ブルームバーグが「史上初のDH」として出場。松井稼頭央は初打席初ホームランの鮮烈デビュー

出野哲也

2020.04.06

 2004年のこの日は、ニューヨーク・メッツに入団した松井稼頭央が敵地でのアトランタ・ブレーブス戦でデビューを飾った。西武のスター遊撃手で、前年秋の日米野球でも大暴れした“リトル・マツイ”はメジャーでも大活躍するのではと見られていて、アメリカのメディアでも多くの記者たちが新人王候補の筆頭に挙げていた。

 1番・遊撃手として起用された初打席で、松井はラス・オティーズの投じた初球をバックスクリーンへ放り込む。「初球から振ろうと思っていたけど、まさか本塁打になるとは」と本人も驚いた一発で、「開幕戦・メジャー初打席・初球を本塁打」は史上初の快挙だった。

 しかもこれだけで終わらず、第2打席はタイムリー二塁打で2打点目、第3打席も押し出し四球で3打点目。さらに第4打席は2本目の二塁打、第5打席は敬遠。3打数3安打3打点、2四球と満点のデビュー戦になった。
 
 本人も「最高のスタートを切れた」と喜んだが、周囲の興奮度はそれ以上。メッツのアート・ハウ監督は「こんなデビューは見たことがない。まるでおとぎ話だ」、『ニューヨーク・ポスト』紙は「たった1球で監督とチームメイト、そしてファンに今季の成功を信じさせることになった」と大絶賛した。昨年、MLB.comが選んだ「最高のデビューを飾った選手」の中でも、17人の野手のうちの一人に挙げられている。

 ところが、終わってみれば打率.272、7本塁打、14盗塁と微妙な打撃成績だった上、遊撃守備も失格の烙印を押されてしまった。2年目以降は二塁に転向。05、06年のシーズン初打席もホームラン(06年はランニングホームラン)を放ち、3年連続は史上2人目の偉業であったが、06年途中でロッキーズへ放出された。

 07年に1番打者としてロッキーズ創設以来初のリーグ優勝に貢献するなど、メジャーでのキャリアは失敗と呼ぶほど酷くはなかったけれども、デビュー戦で高まりすぎた期待を下回ったのは否めなかった。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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