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【追悼コラム】新型コロナの犠牲になった名フォトグラファーはスポーツを、人間を、そして写真を愛した好漢だった

田口有史

2020.04.15

 それからしばらくして、松井秀喜がヤンキースへ入団すると、ヤンキー・スタジアムへ毎試合10人を超える、時には20人近くもの日本人カメラマンが押しかけるようになった。地元紙のカメラマンですらポジションをローテーションしながら撮影している中、大挙して現れた我々日本人の存在は正直、迷惑だったと思う。「どうして日本人に貴重な撮影ポジションを与えなければならないのか」と憤っていたカメラマンもいただろう。

 そんな中でも彼は、日本人選手以外も熱心に撮っている僕を面白いと思ったのか、少し場所を詰めてくれたり、写真を送っている間に空いた自分のポジションで撮影させてくれたり、本来、僕が撮るべきポジションに他のアメリカ人カメラマンがいた時に「そこはこいつの場所だ」と言ってくれたり、いろいろと助けてくれた。
 
 04年のヒューストンでのオールスター・ゲームでは隣同士で撮影した。00年のワールドシリーズで、乱闘寸前の騒ぎを起こしたロジャー・クレメンスとマイク・ピアッツァがバッテリーを組むということで注目を浴びたこのオールスター。ふたを開けてみれば、2人の息がまったく合わずにクレメンスは6失点と炎上したのだが、「こっちの方がイチローの顔がよく見えるから場所を変わろう。俺はクレメンスをメインで撮りたい」と言われて場所を入れ替わったこともあった。僕もどちらかといえば、狙いはこのクレメンスとピアザのバッテリー。あまり替わりたくなかったけれど、太い眉を下げて懇願されたら断れない。

 二人仲良くテニスのUSオープンとヤンキースの試合を同じ日に掛け持ちした時もあった。昼は女子の準決勝。年間グランドスラムを目指すセリーナ・ウィリアムスの試合を撮って、夜はヤンキー・スタジアムでのブルージェイズ戦。ヤンキースの方は優勝がかかるようなビッグゲームではない。
 

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