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MLB

【MLB今日は何の日】クレメンスが史上初の1試合20奪三振を達成、オリオールズは悪夢の開幕21連敗にようやく終止符

出野哲也

2020.04.29

 それから2年後、88年のこの日はボルティモア・オリオールズが不名誉な記録をやっとの思いでストップさせた。4月4日の開幕戦で0-12と大敗したオリオールズは、6連敗を喫した時点で監督のカル・リプケン・シニアを更迭。後任として大物OBフランク・ロビンソンを連れてきたが、初采配となった12日のカンザスシティ・ロイヤルズ戦も1-6で完敗した。19日のブルワーズ戦で13連敗。1904年のワシントン・セネタース、20年のタイガースの開幕連敗記録に並び、翌20日も逆転負けで新記録となった。

 しかしまだまだ連敗は止まらない。18連敗の時点で『スポーツ・イラストレイテッド』誌が沈んだ顔のカル・リプケン・ジュニアを表紙に使ったように、この頃には連敗記録が国民的関心事になっていた。「わざと負けようとしたってこんなに負けられない」(スコット・マグレガー投手)「今、一つ勝てるならワールドシリーズで優勝した気分になるだろうな」(フレッド・リン外野手)。27日のミネソタ・ツインズ戦は4-7の9回表に2点を返したが及ばず、翌28日の同カードも2-4。21連敗でア・リーグの連敗記録を塗り替えた。
 
 ここまで来ると対戦相手にも妙なプレッシャーがかかってきて、それが連敗脱出の一因になった。29日のシカゴ・ホワイトソックス戦は初回にエディー・マレーの2ランで先制し、先発のマーク・ウィリアムソンが6回まで0点に抑える。すると7回表には1安打ながら3四死球、失策に2つの野選とホワイトソックスが自滅して4点を追加。最終的には9-0、開幕から実に26日目での初勝利となり、選手たちはクランベリージュースをかけ合って祝った。

 この年はボルティモア移転後最悪の107敗。しかしながら2018年は115敗、19年も108敗と、近年の低迷ぶりは当時を上回る酷さなのが残念だ。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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