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プロ野球

【2010年代通信簿:巨人】セ最多のリーグ優勝4回も育成に課題を残して日本一は1度だけ

藤原彬

2020.06.01

 ドラフトを振り返ると、06~14年の9年間で1位指名した選手はほぼ順調に活躍。坂本(06年)、長野久義(09年)、澤村拓一(10年)、菅野智之(12年)、小林誠司(13年)、岡本(14年)と主力級の名前がズラリと並ぶ。その間に1位指名選手の抽選くじを8回引き、当たりは2回だけと不運に泣いた点を考慮しても、十分な収穫だ。

 一方で、より育成力が問われる2位以下ではあまり成果を挙げられていないのも事実。同期間にドラフトで全球団最多の103人が入団したが、1位以外の選手(育成含む)で通算30勝以上は田口麗斗だけ、規定打席到達者は一人もいない。

 11年に現在の三軍にあたる「第2の二軍」を設置し、16年から正式に三軍制度を敷いたが、思うように一軍へ戦力を供給できていない。同じく巨大戦力を擁して三軍制を敷くソフトバンクは、育成から千賀滉大や甲斐拓也を育て上げた。両チームの育成力の違いが19年の日本シリーズで浮き彫りになったと言っても過言ではないだろう。
 
 阿部が19年限りで引退し、坂本も今年32歳、菅野も近い将来、海を渡る可能性がある。チームが過渡期を迎えている状況を鑑みても、今後は育成力がより重要になってくるはず。また、10年代は「清武の乱」(10年)や野球賭博(15年)など、「巨人軍は常に紳士たれ」のスローガンに相反する醜聞も目立った。今一度襟を正し、「球界の盟主」にふさわしい強さを発揮したい。

文●藤原彬

著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『スラッガー』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。

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