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プロ野球

【2010年代通信簿:オリックス】幕開けは明るかったが、10年間でCS出場1回は12球団ワースト

藤原彬

2020.06.04

 10年代前半のドラフトで入団した選手の伸び悩みも響いた。10~14年に入団した投手17人で規定投球回に到達したのは15年の東明大貴のみ。野手24人のうち規定打席到達経験者は安達了一だけだ。10年から3年連続で1位指名の抽選くじを計5度も外す不運はあったが、一軍へ十分な戦力を供給できていない。その結果、主力選手が故障や不振に陥るたびに戦力が大幅にダウンするパターンが繰り返された。

 とはいえ、ドラフトに関しては10年代後半に潮目が変わった。吉田正尚(15年1位)、山岡泰輔(16年1位)を筆頭に、他球団との競合を避けつつ即戦力を上位指名する独自路線が実を結んでいる。高卒でも、16年に4位指名で入団した山本由伸が19年に最優秀防御率のタイトルを獲得。また、育成出身者からも一軍の戦力になる選手が出始めている。21年からは三軍制が発足するなど、育成重視の方針に大きく舵を取っている。
 今後の課題は、スケールの大きな強打者の育成だろう。この10年間のチーム総得点数はパ・リーグ最低、シーズン20本塁打をクリアした生え抜きはT-岡田と吉田だけで、リーグベストの防御率を3回マークした投手陣を十分に援護できなかった。

 15年途中から18年までチームを率いた福良淳一前監督(現GM)と、19年から指揮を執る西村徳文監督は、自身の現役時代を踏襲するように機動力と小技中心の野球を標榜しているが、オフェンス重視の方針を掲げるチームが目立つ中、得点力向上には結びついていない。12球団で最も長く遠ざかっている1996年以来のリーグ優勝に向け、戦略面でも方針転換が必要かもしれない。

文●藤原彬

著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『スラッガー』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。
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