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プロ野球

【2010年代通信簿:広島】伝統の育成力で低迷から抜け出し、球団史上初のリーグ3連覇を達成

城ノ井道人

2020.06.05

 開幕前は前田のメジャー移籍で投手陣が不安視されていたものの、いざシーズンが始まると序盤から好調で6月以降は首位を独走。田中広輔、菊池、丸のいわゆる“タナキクマル”トリオの上位打線が確立され、22歳の鈴木誠也が3試合連続決勝弾を放つなど大ブレイク。球団の人気も全国区となり、「カープ女子」なる言葉も生まれて社会現象を巻き起こした。9月10日、多くのカープファンが詰めかけた東京ドームでついに25年ぶりのリーグ優勝。黒田も新井も、そして多くのファンも涙を流して喜んだ。

 働き盛りの20代の主力が投打の軸となり、17~18年もセ界の頂点に立って球団史上初のリーグ3連覇を達成、黄金時代を築き上げた。ただしその間、日本一は一度も果たせず、本当の意味での歓喜を味わうことはまだできていない。18年を最後に攻守の要だった丸がFAで巨人へ移籍すると、昨年はBクラスに転落して緒方監督は辞任した。

 以前から育成力には定評がある球団だったが、低迷期を脱して黄金期を迎えた要因もやはり育成にある。特に丸や菊池、鈴木はドラフト時にそこまで高い評価を得ていたわけではなく、改めて才能を見抜く力と指導力に注目が集まった。
 
 眼力の確かさは助っ人外国人の発掘でも大いに発揮された。北米ルートでは球団外国人選手史上最長の7年間にわたって在籍したブラッド・エルドレッドを筆頭にバリントン、クリス・ジョンソン、デニス・サファテ、ジェイ・ジャクソンらが活躍。さらに、サビエル・バティスタやヘロニモ・フランスアらカープアカデミーからも優れた選手が現れた。単に優良助っ人が多いだけでなく、多くの選手を安いコストで連れてきている点も見逃せない。

 マルが抜け、タナキクにやや衰えが見える今、次代のチームを担う選手の台頭が求められている。小園海斗や坂倉将吾、森下暢仁らを主力に育て上げられるかどうかが20年代前半を占うカギになる。

文●城ノ井道人

【著者プロフィール】
しろのいみちと。会社勤めの後、渡米してMLB記者として全米を飛び回る。。日米問わず若手有望株への造詣が深く、仲間内で「日本版ファンタジーリーグ」を毎年、開催して次代のスター発掘に余念がない。

【カープPHOTO】第1クール最終日。シート打撃では鈴木、小園、正随がホームラン!
 
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