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プロ野球

プロで活躍が見たかった…アマチュア野球ウォッチャー西尾典文が選ぶ「社会人野球でキャリアを終えた名選手」

西尾典文

2020.06.06

 野手では昨年限りで引退した林稔幸(SUBARU)の打撃が強く印象に残っている。立正大時代は東都二部ながら1シーズン9本塁打も記録した右のスラッガーで、社会人に進んでからも中軸を担った。06年の日本選手権では冒頭で紹介した阿部とともに活躍し、打撃賞を受賞。この年を含めて社会人ベストナインを3度獲得している。思い切りの良いフルスウィングは迫力満点で、投手に与えるプレッシャーは相当なものがあった。年齢を重ねてからは簡単に三振をする打席も増えたが、1試合に1度はホームランや長打でしっかり仕事をするあたりにも、社会人ながらプロっぽさを感じたものである。外野の守備や走塁はそれほど目立たなかったが、若い時にDHのあるパ・リーグに入団していたら結果を残していた可能性も十分あっただろう。

 林と同学年の佐々木勉(三菱自動車川崎など)も右の強打者として活躍した。185㎝の長身で長いリーチを生かし、外のボールも巻き取るようにして引っ張る打球は迫力十分。三菱ふそう川崎が休部になってからは三菱重工横浜、三菱重工長崎、三菱日立パワーシステムズ横浜とチームを渡り歩いたが、常に主力として見事な打撃を見せていた。内野ならどこでも守れ、柔らかいグラブさばきも見事だった。全盛期のプレーはプロの一軍レベルだったことは間違いない。
 
 今回紹介した選手はごくごくわずかで、プロ顔負けのプレーを見せる社会人選手は少なくない。現役選手では佐竹功年(トヨタ自動車)などはその代表格で、35歳を過ぎた現在もそのストレートは勢い、コントロールともに一級品だ。プロには縁がなかったとしても素晴らしいパフォーマンスを見せている社会人の選手にもぜひ注目してもらいたい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる。ドラフト、アマチュア野球情報サイト「プロアマ野球研究所(PABBlab)」を2019年8月にリリースして多くの選手やデータを発信している。


 
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