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プロ野球

開幕3日前に妥結へ。選手会が“当たり前”の主張を通し、FAに関わる登録日数はほぼ従来通りの算出に

中島大輔

2020.06.16

開幕直前になってNPBと選手会は、どうにか一定の解決案を見つけた。写真●山崎賢人(THE DIGEST写真部)

開幕直前になってNPBと選手会は、どうにか一定の解決案を見つけた。写真●山崎賢人(THE DIGEST写真部)

 一方、出来高契約の扱いに関し、選手会は日程短縮を踏まえて全球団に「見直し」を要求。16日の事務折衝で球団側は「そもそも出来高契約を結んでいるのは一部の選手」とし、選手会はこれに納得した上で「少なくとも該当選手と話し合ってほしい」と申し入れた。球団側は「異存はない」とし、両者は今回の交渉を終えている。選手会の萱野唯弁護士は、「最後は誠実な交渉ができた」と話した。

 開幕3日前に合意に至った今回の交渉の発端は、今季の開幕日や登録日数の扱いなどをNPB側が一方的に決定し、選手会が不満を抱いたことだった。選手会は4月から話し合いの場を求めてきたが、NPBが初めて応じたのは6月1日。そもそもこうした労使の意思決定の方法に問題があり、NPBと選手会はもっと早く話し合いの場を持つべきだった。
 
 新型コロナウイルスの影響でシーズン短縮を強いられる球団は、大きな経済的ダメージを受ける一方、今回の選手会の要求はそれとは無関係のものだ。とりわけFA権はキャリアに大きく関わるもので、登録日数の算出方法については“当たり前”の権利を“当たり前”に手にしたと言える。

 本来、球団と選手が労働条件について交渉するのは普通の話だ。双方が納得できなければ、本当の意味で「レベルの高い」プロ野球を作り上げることはできない。そうした意味で、コロナ禍でシーズン開幕を迎える直前、選手会と機構側が「誠実な交渉」で合意できたことは、プロ野球ファンにとっても心から歓迎できる結末となった。

文●中島大輔

【著者プロフィール】 
なかじま・だいすけ/1979年生まれ。2005年から4年間、サッカーの中村俊輔を英国で密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に野球界の根深い構造問題を描いた『野球消滅』。『中南米野球はなぜ強いか』で2017年度ミズノスポーツライター賞の優秀賞。

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