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MLB

【2020MLB注目のスターたち】ロナルド・アクーニャJr.&フェルナンド・タティースJr.――新しさと自由を体現する2人の“ジュニア”

城ノ井道人

2020.07.22

 昨年、20歳85日という若さで開幕メジャー入りを果たしたタティースJr.は、そこまで感情豊かに自分を表現するわけではない。だが、「プレーは口ほどに物を言う」。フィールド上でのタティースJr.は走攻守にド派手なプレーでファンの心をわしづかみにする。

 打っては豪快なスウィングでアレックス・ロドリゲスが持つ20歳以下の遊撃手記録を更新する22本塁打、守ってはメジャー屈指の強肩を生かして何度もハイライト集に登場した。7月のブレーブス戦で牽制で誘い出され、挟まれながらも巧みに相手をかわしてセーフ。ジョシュ・ドナルドソン(現ツインズ)からは「去年、俺が見た中で最もすごいプレー」と最大級の賛辞を受けた。

 2人とも、プレー以外の面でも新世代の選手であることをアピールしている。だらしなくボタンを外したユニフォーム、ゆっくりとした周回に胸元で跳ねる太い金のネックレスとドレッドヘア。どれを取っても、古くからの球界人が眉をひそめそうな装いだが、だからこそ若年層のファンには魅力的に映るのもまた間違いない。

 アクーニャJr.はそうでもないが、タティースJr.はSNSでの発信にも積極的だ。インスタグラムでは上半身裸の見事なシックスパックや、オシャレな服に身を包んだ姿を披露し、MLB.comに「『(男性ファッション誌)GQ』の撮影?」と書かれたこともある。今年4月に全30球団の代表選手がテレビゲーム『MLB The Show20』で〝世界一〞を争った「プレーヤーズ・リーグ」にも進んで参加。自身が操作するタティースJr.でサヨナラ本塁打を打って狂喜乱舞する姿が話題を呼んだ。
 
 才能とルックス、スター性を兼ね備えた彼らが将来、MLBを代表するスーパースターになるだけの資質を持っていることは誰の目にも明らかだ。だが、〝本物〞のスターになるためには、超えなければならい壁も存在する。

 アクーニャJr.は度々、監督やチームメイトから怠慢プレーを叱責されている。昨年の地区シリーズでは本塁打を確信した打球がフェンスを直撃、まともに走っていなかったため一塁止まりになった。派手なパフォーマンスの是非とは別次元で、全力プレーを怠るようでは周囲の信頼は得られない。タティースJr.は、故障の多さが心配だ。昨年は太腿裏、腰を痛めて2度の戦線離脱。8月中旬以降は1試合もプレーすることなくシーズンを終えた。しかも、18年にはマイナーで指を骨折している。今後も故障離脱が頻発するようなら、到底スーパースターにはなれないだろう。

 だが、2人がそれぞれ課題を克服した時、NBAやNFLのスターに負けない、MLBが真に求めるスーパースターが生まれるはずだ。

文●城ノ井道人

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