『T206』は元々、タバコのおまけに付いていたカードだ。だが、非喫煙者だったワグナーは、青少年がカード欲しさにタバコを買い、そこから喫煙者となるのを嫌ってカードの回収をタバコ会社に求めた。現在も出回っているのはその回収からかろうじて漏れたカードで、だからこそ稀少価値が高い。同じ『T206』シリーズでも、例えばタイ・カッブのカードなどは、現在もそれなりに出回っているため、そこまで高額ではない。
加えて、ワグナーの『T206』には「ジャンボ・ワグナー」と呼ばれるカードも存在する。おそらく裁断のミスだと思われるが、呼称のとおり、通常の「T206」よりもサイズが少しだけ大きい。言ってみれば、穴の位置がずれているエラーコインのようなものだ。312万ドルで落札されたのもこの「ジャンボ・ワグナー」で、二重に稀少価値が高かったのだ。
これほどの逸品でもトラウトのカードにはかなわなかったのだから、カードの稀少性もさることながら、やはりトラウトの選手としての実力がMLBの歴史上でも飛び抜けているということだろう。なお、トラウトはこのニュースに「こんなことになるなら自分で持っておけば良かったよ」と冗談を飛ばしつつ、「あんな小さな僕の写真にこんなに価値が出るなんて、はっきり言って恐縮だね」とコメントしたという。
なお、件のワグナーの『T206』は、復刻版であれば手頃な値段で買える。アメリカ野球殿堂が8ドル(約852円)で販売しているのだ。「ジャンボ・ワグナー」やトラウトのカードは無理でも、これくらいなら誰でもコレクションしておくことができる。
文●宇根夏樹
【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。
【PHOTO】スター選手が勢ぞろい! 2020MLBプレーヤーランキングTOP30
加えて、ワグナーの『T206』には「ジャンボ・ワグナー」と呼ばれるカードも存在する。おそらく裁断のミスだと思われるが、呼称のとおり、通常の「T206」よりもサイズが少しだけ大きい。言ってみれば、穴の位置がずれているエラーコインのようなものだ。312万ドルで落札されたのもこの「ジャンボ・ワグナー」で、二重に稀少価値が高かったのだ。
これほどの逸品でもトラウトのカードにはかなわなかったのだから、カードの稀少性もさることながら、やはりトラウトの選手としての実力がMLBの歴史上でも飛び抜けているということだろう。なお、トラウトはこのニュースに「こんなことになるなら自分で持っておけば良かったよ」と冗談を飛ばしつつ、「あんな小さな僕の写真にこんなに価値が出るなんて、はっきり言って恐縮だね」とコメントしたという。
なお、件のワグナーの『T206』は、復刻版であれば手頃な値段で買える。アメリカ野球殿堂が8ドル(約852円)で販売しているのだ。「ジャンボ・ワグナー」やトラウトのカードは無理でも、これくらいなら誰でもコレクションしておくことができる。
文●宇根夏樹
【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。
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