――日本プロ野球とMLBの違いはどのようなところにありますか?
MLBでは選手が感情を露わにするのが、最も大きな違いだと思います。それと、日本であれば「ここは1球外してくるな」とか、「ここはバットを振らない場面だ」と予想できる時には、解説者の方に話を振ったりできますが、メジャーの場合は遊び球がなくて、常に勝負。いつでも打ってくるから気をつけないといけないし、試合の流れのリズムが違うと思います。
――今年のMLBポストシーズンはどんなものになると思いますか?
いつもは10チームしか出場できなかったのが、今年は16チーム出場できるようになったことが一番重要ですね。NHLやNBAと比べて、MLBはポストシーズンに出場するのが難しいスポーツだと言われていました。しかし、今年は一番ポストシーズンに出やすいスポーツになった。新しく導入されたワイルドカード・シリーズは、3試合で決着をつける方式(2勝先取制)なので、最低ピッチャーが2人いれば勝ち抜ける可能性がある。その点ではいろんな波乱が起こりそうなプレーオフになると思います。
――波乱といえば、昨年のナショナルズもワイルドカードからの勝ち上がりでしたね。
今年は特に“アップセット”(番狂わせ)が期待できそうだと感じます。選手ではクリスチャン・イェリッチ(ブルワーズ)が低調ですが、私の予想では終盤にドーンと成績を上げてくるのではないかと思います。スポーツは“ストロングフィニッシュ”(追い込み)が重要だと思っていて、例えば、初球に厳しいところに投げる投手よりも、最後に厳しいボールを投げられる方が良い結果につながるし、シーズン序盤に活躍するよりも、後半に活躍する選手の方が給料も上がる。そういった追い込みができる選手やチームに期待しています。
――具体的に注目しているのは誰ですか?
田中将大(ヤンキース)ですね。今は出遅れている印象ですが、その分、後半に上がってくるはずです。勝つための準備は常にしていると思いますし、もともとポストシーズンにはめっぽう強い選手。先ほども言ったイェリッチも今後上がってくると思うので、注目しています。(※取材実施日/8月28日)
――近藤さんは2004年からMLBの実況を担当されていますが、最も記憶に残っているポストシーズンはいつですか?
一番印象に残っているのは03年なんですよね(笑)。ヤンキース対レッドソックスのア・リーグ優勝決定シリーズ第3戦。ロジャー・クレメンス(当時ヤンキース)とペドロ・マルティネス(当時レッドソックス)が投げ合って、試合中には乱闘も起こる。04年から実況の仕事がたくさん入るよと言われて、準備のためにずっとMLBを見ていましたが、松井秀喜さん(当時ヤンキース)がホームインして雄叫びをあげる姿なんて見たことがなかったし、ヤンキースのコーチだった当時72歳のドン・ジマーがベンチから飛び出して、40歳以上も年下のマルティネスと乱闘したんですよ。日本では考えられないことで、これがMLBのプレーオフなのかと衝撃を受けた。その激しいイメージが忘れられず、今でもMLBのレギュラーシーズンとポストシーズンは、まったくの別物だと思っています。
――プロ野球ファンがMLBポストシーズンを見るとしたら、どんなところに注目すると楽しめるかを教えてください。
日本にもクライマックスシリーズができたことで少しずつ変わってきましたが、アメリカではレギュラーシーズンで勝つことよりも、ポストシーズンに出場して勝つことが最も重要です。スターはポストシーズンで生まれるもので、そこで活躍すれば給料も上がる。まさに選ばれしものが出場できる舞台だいうのが昔からの認識です。レギュラーシーズンはあくまでプレーオフに出るためのもの。ポストシーズンならではの「負けたら終わり」という、特別な雰囲気を感じてほしいですね。
昨季、ワイルドカードから世界一まで駆け上がったナショナルズを見ればわかるように、ポストシーズンは勢いが大事。近藤さんの言うように、“ストロングフィニッシュ”ができるチームは強い。そういう意味では、9月に入って順位を上げている、山口俊が所属するブルージェイズなどは面白い存在かもしれない。頂点を賭けて各チームがしのぎを削る激動のポストシーズンを、近藤さんがどのように実況で彩ってくれるかにも注目だ。
構成●SLUGGER編集部
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MLBでは選手が感情を露わにするのが、最も大きな違いだと思います。それと、日本であれば「ここは1球外してくるな」とか、「ここはバットを振らない場面だ」と予想できる時には、解説者の方に話を振ったりできますが、メジャーの場合は遊び球がなくて、常に勝負。いつでも打ってくるから気をつけないといけないし、試合の流れのリズムが違うと思います。
――今年のMLBポストシーズンはどんなものになると思いますか?
いつもは10チームしか出場できなかったのが、今年は16チーム出場できるようになったことが一番重要ですね。NHLやNBAと比べて、MLBはポストシーズンに出場するのが難しいスポーツだと言われていました。しかし、今年は一番ポストシーズンに出やすいスポーツになった。新しく導入されたワイルドカード・シリーズは、3試合で決着をつける方式(2勝先取制)なので、最低ピッチャーが2人いれば勝ち抜ける可能性がある。その点ではいろんな波乱が起こりそうなプレーオフになると思います。
――波乱といえば、昨年のナショナルズもワイルドカードからの勝ち上がりでしたね。
今年は特に“アップセット”(番狂わせ)が期待できそうだと感じます。選手ではクリスチャン・イェリッチ(ブルワーズ)が低調ですが、私の予想では終盤にドーンと成績を上げてくるのではないかと思います。スポーツは“ストロングフィニッシュ”(追い込み)が重要だと思っていて、例えば、初球に厳しいところに投げる投手よりも、最後に厳しいボールを投げられる方が良い結果につながるし、シーズン序盤に活躍するよりも、後半に活躍する選手の方が給料も上がる。そういった追い込みができる選手やチームに期待しています。
――具体的に注目しているのは誰ですか?
田中将大(ヤンキース)ですね。今は出遅れている印象ですが、その分、後半に上がってくるはずです。勝つための準備は常にしていると思いますし、もともとポストシーズンにはめっぽう強い選手。先ほども言ったイェリッチも今後上がってくると思うので、注目しています。(※取材実施日/8月28日)
――近藤さんは2004年からMLBの実況を担当されていますが、最も記憶に残っているポストシーズンはいつですか?
一番印象に残っているのは03年なんですよね(笑)。ヤンキース対レッドソックスのア・リーグ優勝決定シリーズ第3戦。ロジャー・クレメンス(当時ヤンキース)とペドロ・マルティネス(当時レッドソックス)が投げ合って、試合中には乱闘も起こる。04年から実況の仕事がたくさん入るよと言われて、準備のためにずっとMLBを見ていましたが、松井秀喜さん(当時ヤンキース)がホームインして雄叫びをあげる姿なんて見たことがなかったし、ヤンキースのコーチだった当時72歳のドン・ジマーがベンチから飛び出して、40歳以上も年下のマルティネスと乱闘したんですよ。日本では考えられないことで、これがMLBのプレーオフなのかと衝撃を受けた。その激しいイメージが忘れられず、今でもMLBのレギュラーシーズンとポストシーズンは、まったくの別物だと思っています。
――プロ野球ファンがMLBポストシーズンを見るとしたら、どんなところに注目すると楽しめるかを教えてください。
日本にもクライマックスシリーズができたことで少しずつ変わってきましたが、アメリカではレギュラーシーズンで勝つことよりも、ポストシーズンに出場して勝つことが最も重要です。スターはポストシーズンで生まれるもので、そこで活躍すれば給料も上がる。まさに選ばれしものが出場できる舞台だいうのが昔からの認識です。レギュラーシーズンはあくまでプレーオフに出るためのもの。ポストシーズンならではの「負けたら終わり」という、特別な雰囲気を感じてほしいですね。
昨季、ワイルドカードから世界一まで駆け上がったナショナルズを見ればわかるように、ポストシーズンは勢いが大事。近藤さんの言うように、“ストロングフィニッシュ”ができるチームは強い。そういう意味では、9月に入って順位を上げている、山口俊が所属するブルージェイズなどは面白い存在かもしれない。頂点を賭けて各チームがしのぎを削る激動のポストシーズンを、近藤さんがどのように実況で彩ってくれるかにも注目だ。
構成●SLUGGER編集部
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