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プロ野球

【氏原英明の本音で勝負!】内川聖一を二軍に置いておくのは正しいことなのか。トレードによる球界活性化への期待

氏原英明

2020.09.23

 あまりにも目まぐるしく選手が移動するメジャーリーグのトレードは、悪い言い方をすれば人身売買のように見えなくもない。おそらくその点が日本の野球界には受け入れられない部分なのだろう。トレードした選手が移籍先で活躍するとファンからのクレームが怖いということもある。21日の巨人対広島戦で解説者を務めた小久保裕紀氏がトレードについて「両チームにいい部分をもたらすことがあると思って成立するもの」と語っていたが、そういう考えが浸透しているとは言い難い。

 ロッテに移籍した澤村が活躍して「巨人はもったいないことをした」と今思えても、来年以降、香月が一軍に定着して勝利に貢献するかもしれない。こうしたトレードの「最終収支」が分かるのは3年後、5年後まで待たなければならないのだ。

 日本の野球界がトレードへの考えを改めるためには、もう一つ視点を変える必要がある。それは選手の立場になるということだ。

 現在は活躍の場がないけれど、有事に備えて実力のある選手を抱えておきたいというのは理解できる。ソフトバンクの内川聖一がいい例だ。彼は今季、一軍未出場だが、ファームでは65打数22安打で打率.338、出塁率.420の好成績を残している。過去の実績、大舞台での豊富な経験も含め、「何かの時」に取っておきたい戦力であることは間違いない。
 
 しかし、選手のキャリアには限りがある。特に内川の場合は今年38歳。残された時間は、もうそう多くはないのである。

 内川だけではない。リーグ2連覇中、今季は5位に低迷する西武には栗山巧、中村剛也、セ・リーグ最下位のヤクルトには青木宣親という実力者がいる。

 もちろん、内川も栗山も中村も青木もチームの顔とも呼べる存在であり、今のユニフォームを着たまま現役を終えてほしいと願っているファンが数多くいることは理解している。

 だが、まだ一軍で戦える実力を持つベテランが出番を奪われて二軍でくすぶることが果たして正しいのか。内川や青木らが二度と優勝争いをすることなくキャリアを終えてしまっていいのか。彼らの力量を知っている者からすれば、「YES」とは到底言えない。一方、チームとして明らかに未来に目を向けるべき時に、いたずらにベテランを起用し続けるのもまたおかしい。トレードはこうした事態を解決する手段でもある。
 

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