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プロ野球

退任報道が出たラミレス監督。5年間で露わになった“功罪”とは?

萩原孝弘

2020.10.09

佐野(左)をはじめ若手の育成にラミレス監督が貢献したのは事実。その一方でマイナス面も少なくなかった。写真:萩原孝弘

佐野(左)をはじめ若手の育成にラミレス監督が貢献したのは事実。その一方でマイナス面も少なくなかった。写真:萩原孝弘

 とはいえ、打撃面でも課題は散見された。外国人選手初の名球会入りした自らの経験則から、「ファーストストライクを積極的に打ちに行く」ことを信条にするスタイルをチームに意識付けた。これは諸刃の剣でもあり、ハマった時の破壊力は抜群である一方で、淡白な攻撃に終わることも少なくなく、過去2年連続で出塁率リーグワーストの要因の一つになった可能性はある。

 また、パワー重視の編成となり、ヒットが出ても各駅停車、つまり先の塁を奪うことがあまりできなかった。実際、ベースランニングの指標は非常に悪く、出塁率の低さと合わせて得点力の頭打ちにつながった。「試合前にはプランを持って挑んでいる」とのコメントはよく聞かれるが、ラミレス監督が試合中に動くことはあまりなく、個々の能力に任せる傾向が強い。もちろん、これのメリットはあるものの、采配で1点を嫌らしく取りに行く攻撃は、お世辞にも上手とは言えない。

 投手起用においては、先発投手を引っ張らず、継投でゲームメイクすることも多い。こちらもハマればスムースにゲームを進められるが、不調や登板過多による疲れなどで計算が狂った場合には、後手に回り、逆転を許す場面も見られる。また田中健二朗、須田幸太らは勤続疲労の影響からか故障してしまい、近年ブルペンを支えている三嶋一輝、国吉佑樹、エドウィン・エスコバー、スペンサー・パットンらも心配ではある。多用する申告敬遠も失点につながるケースが散見される。
 
 ラミレス采配には、相手ピッチャーや球場との相性、バッテリー間の防御率などを加味。バントなどについても、ランナーの脚力など数字を論拠とした細かいデータに基づいている。実際に試合後にコメントを求めると、事細かな説明がなされる理由はそこにある。

 しかし、今季のような結果が伴わないシーズンとなると、賛よりも否の方が多くなるのも致し方ない。最も顕著だったのが、9月上旬の巨人戦だ。2戦目のリリーフにマイケル・ピープルズを起用し、3戦目にパットンを先発させる奇策を決断。結果はパットンが1.1回9失点(自責点7)と大失敗に終わって3連敗。ゲーム差も8.5まで広がり、事実上、優勝の可能性が潰えてしまった。

「外国人枠の関係で、オースティン復帰までピープルズをフル回転させたい」と「ボールの強いパットンを先発させて、相手打線を狂わせたい」と明確な意図があったとはいえ、結果すべての世界において、失敗した以上は愚策と言われるのは仕方ない。

 2016年からベイスターズを率いるラミレス監督。就任1年目にチームを初のCSに導き、翌年は日本シリーズ進出、昨年はリーグ2位まで押し上げ、本拠地でのCS開催を掴んだ。2002年から2015年までAクラスが一度しかないチームを、Aクラス常連へと進化させたことは間違いない事実だ。

 日本野球の常識にとらわれない“ラミ流”采配。己を貫き通すスタイルは球団上層部からこのオフ、どのような評価が下されるのだろうか。

取材・文・写真●萩原孝弘
 
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