野手では現状、生え抜きで戦力になっている大砲タイプが不在とあり、この系統の高校生外野手が入団すれば、年齢的・ポジション的なバランスは一気によくなるはずだったが、育成を含めて指名した選手７人のうち、野手は指名自体が１人だけだった。

　確かに即戦力投手獲得が今ドラフトのテーマだったのは明白で、現在の主力が元気なうちに優勝を目指す――という観点からすれば納得ではあるものの、大砲候補獲得は来季以降も引き続き課題になる。
  　唯一の野手は当初から指名が予想されていた、地元・仙台育英の大型遊撃手・入江。投手で東北勢を取らなかった分は、ここで埋め合わせた格好だ。小深田大翔が正遊撃手に定着したので即戦力は不要とあって、これは会心の指名と言えよう。

　細かい点で不満もなくはないが、早川の獲得ですべて帳消しにできた、そんなドラフトだった。

文●出野哲也