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プロ野球

【2020ドラフト総括:西武】超サプライズの1位指名に代表される「野手ドラフト」は、実は事前のプラン通り?

出野哲也

2020.11.01

 また、22歳以下の選手にも強打者の選手が不在のチーム構成から、高校通算49本塁打の山村を3位で指名した。同じ東海大相模では、同55発の西川僚祐の方が上位かと思われていたが、渡辺GMは「高校生野手では一番の評価。3位まで残っていてびっくり」と語るほど、山村の素質を買っていた。西武のドラフト3位には秋山(2010年)や外崎修汰(14年)、源田壮亮(16年)など出世するジンクスもあるだけに期待したいところだ。

 また、おなじみ大阪桐蔭高から指名の仲三河も長距離砲の素質は十分で、これも目的にかなった指名。高校生ではないが、4位の若林もやはり大砲タイプで、数年後の大化けに期待がかかる。
 
 その一方で、今季も防御率リーグ最下位に沈む弱体投手陣へのてこ入れは、2位でやはり恒例の富士大出身者・佐々木と、準硬式野球部出身の異色の投手・大曲のみにとどまった。やや物足りなさは感じるが、現有戦力の底上げで賄うということだろうか。

 西武らしい独自路線がそこかしこにうかがえたドラフトで、即戦力投手が少なかった以外は当初の補強プランから大きく外れてもいない。だが、それでも戦略的に正解だったかにはやや疑問が残る。スカウトが担当選手に入れ込みすぎ、他球団に取られるのを恐れて繰り上げ指名する……そんなケースの失敗は過去にもあった。果たして同じ失敗を繰り返していないかが気がかりだ。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。
 

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