よく知られているように、ロッテ打線は左打者が多い。先発・中継ぎにサウスポーを多く抱えるソフトバンクを攻略するには、右打者の働きがカギになる。つまり、ロッテがソフトバンクに苦戦するようになった要因の一つが中村にあるということだ。
一方、ソフトバンク側から9月までと10月以降の成績を見ると、本塁打数は9月とほぼ変わらないが、チーム打率は上がっている。
打線を引っ張ってきた柳田悠岐の本塁打のペースが落ち着くと同時に、チーム全体でつなぐ意識が強くなった。1番に固定された周東佑京が足の脅威を見せる一方で、調子を落としていた栗原陵矢が復調。下位を打つ松田宣浩、甲斐拓也がうまく絡み、ベテランの明石健志は10月にOPS.973と勝負強さを発揮した。
シーズン終盤やポストシーズンでのソフトバンクの勝負強さはこれまでも証明されているが、ロッテの不調に乗じたわけではなく、チーム全体で安定した試合運びができるようになったことが結果につながっているのだ。
投手陣でカギになるのはチェン・ウェイン、小島和哉、チェン・グァンユウといった左投手たちだろう。彼らを第2先発という形で使うことができれば、活路を見出せるのではないか。
第1戦の先発は美馬学、第2戦は二木康太だろう。石川歩が左ふくらはぎを痛めたこともあり、第3戦は岩下大輝か。右投手を先発に起用すれば、シーズンと同じように、ソフトバンクは隙間なく左打線を並べるだろう。そこで、勝負所でサウスポーを投入するのだ。
もし、4戦目までもつれるようなら、唐川侑己のオープナー起用も奇策として考えたい。唐川は今季のソフトバンク戦は7試合に投げて無失点と完璧な投球を披露している。唐川からチェン・ウェインの投入で長いイニングを稼ぐというパターンも考えられる。
レギュラーシーズンの成績や個々の戦力を比べれば、ソフトバンクが圧倒的に優位と見ていい。打線の復調がない限り、ロッテにとってかなり厳しい戦いになるだろう。それが覆るとしたら、中村がどこまで活躍できるか、これに尽きる。
2010年と同じように“下剋上”から日本シリーズに進めるか。目が離せない戦いがもうすぐ始まる。
取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。
一方、ソフトバンク側から9月までと10月以降の成績を見ると、本塁打数は9月とほぼ変わらないが、チーム打率は上がっている。
打線を引っ張ってきた柳田悠岐の本塁打のペースが落ち着くと同時に、チーム全体でつなぐ意識が強くなった。1番に固定された周東佑京が足の脅威を見せる一方で、調子を落としていた栗原陵矢が復調。下位を打つ松田宣浩、甲斐拓也がうまく絡み、ベテランの明石健志は10月にOPS.973と勝負強さを発揮した。
シーズン終盤やポストシーズンでのソフトバンクの勝負強さはこれまでも証明されているが、ロッテの不調に乗じたわけではなく、チーム全体で安定した試合運びができるようになったことが結果につながっているのだ。
投手陣でカギになるのはチェン・ウェイン、小島和哉、チェン・グァンユウといった左投手たちだろう。彼らを第2先発という形で使うことができれば、活路を見出せるのではないか。
第1戦の先発は美馬学、第2戦は二木康太だろう。石川歩が左ふくらはぎを痛めたこともあり、第3戦は岩下大輝か。右投手を先発に起用すれば、シーズンと同じように、ソフトバンクは隙間なく左打線を並べるだろう。そこで、勝負所でサウスポーを投入するのだ。
もし、4戦目までもつれるようなら、唐川侑己のオープナー起用も奇策として考えたい。唐川は今季のソフトバンク戦は7試合に投げて無失点と完璧な投球を披露している。唐川からチェン・ウェインの投入で長いイニングを稼ぐというパターンも考えられる。
レギュラーシーズンの成績や個々の戦力を比べれば、ソフトバンクが圧倒的に優位と見ていい。打線の復調がない限り、ロッテにとってかなり厳しい戦いになるだろう。それが覆るとしたら、中村がどこまで活躍できるか、これに尽きる。
2010年と同じように“下剋上”から日本シリーズに進めるか。目が離せない戦いがもうすぐ始まる。
取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。