まさに“令和の怪童”と言える大活躍だった。
ヤクルトは10日、今季のレギュラーシーズン全日程が終了。まだ試合が残っているチームがあるものの、村上宗隆は最終戦で3打数1安打1四球を記録し、出塁率.427でシーズンを終えた。大先輩・青木宣親(.424)、3位の広島・鈴木誠の出塁率は.409で、4位以下の選手含め、残り試合で村上を上回ることは現実的に不可能となり、村上が3年目で自身初の打撃タイトルとなる「最高出塁率」を戴冠することとなった。
これまで最高出塁率を手にした選手では、高卒4年目、21歳のイチローが最年少だったが、20歳の村上がこれを更新。昨年も本塁打(36本)と打点(96)で10代選手の記録を塗り替えたばかりだが、またも村上がプロ野球史に名を刻む形となった。
昨年はセ・リーグ歴代ワーストの184三振を喫した大砲とあって、“一般的”に村上は「ブンブン丸」というイメージが強いかもしれない。しかし、昨年も四球率12.5%はリーグ6位、1打席あたりの投球数P/PA4.35が1位と素晴らしい打席アプローチを見せていた。そして今季は四球率が16.9%、三振率も31.0%→22.3%。打者として一段階上のステージに上がったことが、今回の最年少記録につながった。
そしてもう一つ、むしろ最高出塁率のタイトル以上に凄いかもしれないのが、「OPS」だ。出塁率と長打率(勘違いされやすいが長打割合ではなく、塁打期待値という表現が近い)を足し合わせたこの指標は、単純な計算ながら打者の能力を分かりやすく反映しているとされ、メジャーでは2000年代前半頃から一般的になっている。
このOPSで、村上は今季セ・リーグでただひとり1000ポイントの壁を越え、リーグ1位の1.017を記録した(出塁率.427+長打率.585)。もちろんOPSは表彰タイトルではないものの、出塁能力と長打を打つ能力=得点に直結する打撃能力を反映した指標であり、かなり“有用”なものだ。この「真の強打者」を証明している数字で、高卒3年目の村上が頂点に立ったという事実は驚異的でしかない。
高卒3年目の選手でOPS1.000を超えること自体がほぼなく、その上でリーグ1位となったのは、もちろん村上が史上初の快挙である。確かに神宮球場は打者有利という面があるにせよ、防御率がダントツリーグ最低のヤクルト投手陣と対戦していない“ハンデ”も考慮すれば、やはり村上の数字は偉業中の偉業と思える。
メジャーリーグでは、そのシーズンで最高の打者に贈られるアウォードとしてハンク・アーロン賞というものがある。アーロンはあのベーブ・ルースの通算本塁打記録を塗り替えた打者であり、その功績から同賞が設立されている。もし日本でも似たような表彰を作るとしたら、王貞治賞というところだろうか。
打撃三冠において、村上は打率.307がリーグ5位、28本塁打が2位、86打点が3位だった。この部門の数字ももちろん十分素晴らしいが、あまり表に出ない部分で“もっと”素晴らしい記録があった。もし王貞治賞があったとしたら、今年の村上が該当していたのではないだろうか。
構成●新井裕貴(THE DIGEST編集部)
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ヤクルトは10日、今季のレギュラーシーズン全日程が終了。まだ試合が残っているチームがあるものの、村上宗隆は最終戦で3打数1安打1四球を記録し、出塁率.427でシーズンを終えた。大先輩・青木宣親(.424)、3位の広島・鈴木誠の出塁率は.409で、4位以下の選手含め、残り試合で村上を上回ることは現実的に不可能となり、村上が3年目で自身初の打撃タイトルとなる「最高出塁率」を戴冠することとなった。
これまで最高出塁率を手にした選手では、高卒4年目、21歳のイチローが最年少だったが、20歳の村上がこれを更新。昨年も本塁打(36本)と打点(96)で10代選手の記録を塗り替えたばかりだが、またも村上がプロ野球史に名を刻む形となった。
昨年はセ・リーグ歴代ワーストの184三振を喫した大砲とあって、“一般的”に村上は「ブンブン丸」というイメージが強いかもしれない。しかし、昨年も四球率12.5%はリーグ6位、1打席あたりの投球数P/PA4.35が1位と素晴らしい打席アプローチを見せていた。そして今季は四球率が16.9%、三振率も31.0%→22.3%。打者として一段階上のステージに上がったことが、今回の最年少記録につながった。
そしてもう一つ、むしろ最高出塁率のタイトル以上に凄いかもしれないのが、「OPS」だ。出塁率と長打率(勘違いされやすいが長打割合ではなく、塁打期待値という表現が近い)を足し合わせたこの指標は、単純な計算ながら打者の能力を分かりやすく反映しているとされ、メジャーでは2000年代前半頃から一般的になっている。
このOPSで、村上は今季セ・リーグでただひとり1000ポイントの壁を越え、リーグ1位の1.017を記録した(出塁率.427+長打率.585)。もちろんOPSは表彰タイトルではないものの、出塁能力と長打を打つ能力=得点に直結する打撃能力を反映した指標であり、かなり“有用”なものだ。この「真の強打者」を証明している数字で、高卒3年目の村上が頂点に立ったという事実は驚異的でしかない。
高卒3年目の選手でOPS1.000を超えること自体がほぼなく、その上でリーグ1位となったのは、もちろん村上が史上初の快挙である。確かに神宮球場は打者有利という面があるにせよ、防御率がダントツリーグ最低のヤクルト投手陣と対戦していない“ハンデ”も考慮すれば、やはり村上の数字は偉業中の偉業と思える。
メジャーリーグでは、そのシーズンで最高の打者に贈られるアウォードとしてハンク・アーロン賞というものがある。アーロンはあのベーブ・ルースの通算本塁打記録を塗り替えた打者であり、その功績から同賞が設立されている。もし日本でも似たような表彰を作るとしたら、王貞治賞というところだろうか。
打撃三冠において、村上は打率.307がリーグ5位、28本塁打が2位、86打点が3位だった。この部門の数字ももちろん十分素晴らしいが、あまり表に出ない部分で“もっと”素晴らしい記録があった。もし王貞治賞があったとしたら、今年の村上が該当していたのではないだろうか。
構成●新井裕貴(THE DIGEST編集部)
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