【表】サイ・ヤング賞候補投手のDRAと防御率の比較
今シーズンのダルビッシュの防御率2.01は、50イニング以上投げた投手の中でリーグ2位だった。だが、DRA3.26は11位に過ぎなかった。なぜこれだけの差が生まれたのだろうか? 今シーズン、各チームは同地区内の対戦しかなかった。たとえば、リーグを問わず西地区に所属するチームは中地区、東地区のチームとは1試合も戦わなかった。そして、3つのグループ(東地区、中地区、西地区)の中で、中地区は最もレベルが低かったのだ。
ロサンゼルスに拠点を置いて活動する私は、すべての投手の実力を自分の目で判断することはできない。そこで、自分の目が捉えられなかったものを補うためにDRAを信頼した。
バウアーはナ・リーグベストの防御率1.73をマークしたが、彼もまた比較的弱い中地区でプレーしていた。それでも、DRAは2.89でダルビッシュより優れていた。このことは私にとって、バウアーに1位票を投じる十分な根拠となった。
2位に入れたデグロムもまた、DRAはダルビッシュより良かった(2.66)。過去2年連続でサイ・ヤング賞を獲得していた右腕は、より困難な相手が多い東地区で投げながら、防御率も2.38と優秀だった。
ラメットは私が今年、直に見た中で最高の投手だった。彼は、ドジャースに次いでリーグ2位の勝率をマークしたパドレスで最も威圧感を備えた投手だった。DRA2.91はバウアーと同等で、対戦打席当たりの奪三振割合ではリーグ5位。私は、自信をもって彼に3位票を投じた。
ノラはナ・リーグベストのDRA(2.58)を記録。防御率3.28はダルビッシュの2.01よりずっと高いものの、私はDRAを信頼してノラの方がずっと優れた投球内容だったと判断した。
他の年であれば、ダルビッシュを5位にしていたかもしれない。しかし、ブルワーズのセットアップとして活躍した新人のウィリアムズは対戦した100人のうち53人から三振を奪い、DRA2.19は10イニング以上の投手では両リーグトップだった。防御率0.33という数字からも、圧倒的な投球だったことが分かる。“エア・ベンダー”と呼ばれる決め球のチェンジアップは、攻略不可能であると同時に美しさすらたたえていた。彼は、リリーフ投手に求められるすべての条件を備えていた。
傑出した存在になることが難しい短縮シーズンで、この5人は(少なくとも私の考えでは)ダルビッシュよりも際立っていたということだ。
文●JP・フーンストラ
【著者プロフィール】
JP・フーンストラ。サザンカリフォルニア・ニュースグループに所属し、『オレンジカウンティ・レジスター』紙などに寄稿。全米野球記者協会会員。著書に『50 Greatest Dodger Games of All Time』。ツイッターアカウントは@jphoornstra
今シーズンのダルビッシュの防御率2.01は、50イニング以上投げた投手の中でリーグ2位だった。だが、DRA3.26は11位に過ぎなかった。なぜこれだけの差が生まれたのだろうか? 今シーズン、各チームは同地区内の対戦しかなかった。たとえば、リーグを問わず西地区に所属するチームは中地区、東地区のチームとは1試合も戦わなかった。そして、3つのグループ(東地区、中地区、西地区)の中で、中地区は最もレベルが低かったのだ。
ロサンゼルスに拠点を置いて活動する私は、すべての投手の実力を自分の目で判断することはできない。そこで、自分の目が捉えられなかったものを補うためにDRAを信頼した。
バウアーはナ・リーグベストの防御率1.73をマークしたが、彼もまた比較的弱い中地区でプレーしていた。それでも、DRAは2.89でダルビッシュより優れていた。このことは私にとって、バウアーに1位票を投じる十分な根拠となった。
2位に入れたデグロムもまた、DRAはダルビッシュより良かった(2.66)。過去2年連続でサイ・ヤング賞を獲得していた右腕は、より困難な相手が多い東地区で投げながら、防御率も2.38と優秀だった。
ラメットは私が今年、直に見た中で最高の投手だった。彼は、ドジャースに次いでリーグ2位の勝率をマークしたパドレスで最も威圧感を備えた投手だった。DRA2.91はバウアーと同等で、対戦打席当たりの奪三振割合ではリーグ5位。私は、自信をもって彼に3位票を投じた。
ノラはナ・リーグベストのDRA(2.58)を記録。防御率3.28はダルビッシュの2.01よりずっと高いものの、私はDRAを信頼してノラの方がずっと優れた投球内容だったと判断した。
他の年であれば、ダルビッシュを5位にしていたかもしれない。しかし、ブルワーズのセットアップとして活躍した新人のウィリアムズは対戦した100人のうち53人から三振を奪い、DRA2.19は10イニング以上の投手では両リーグトップだった。防御率0.33という数字からも、圧倒的な投球だったことが分かる。“エア・ベンダー”と呼ばれる決め球のチェンジアップは、攻略不可能であると同時に美しさすらたたえていた。彼は、リリーフ投手に求められるすべての条件を備えていた。
傑出した存在になることが難しい短縮シーズンで、この5人は(少なくとも私の考えでは)ダルビッシュよりも際立っていたということだ。
文●JP・フーンストラ
【著者プロフィール】
JP・フーンストラ。サザンカリフォルニア・ニュースグループに所属し、『オレンジカウンティ・レジスター』紙などに寄稿。全米野球記者協会会員。著書に『50 Greatest Dodger Games of All Time』。ツイッターアカウントは@jphoornstra