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プロ野球

「生え抜き2000安打」は巨人が独走!あの西武がまさかのゼロも、栗山が来季その名を刻む?

THE DIGEST編集部

2020.11.19

「ミスターレオ」を襲名した栗山は2000本に“王手”。来季の達成は確実な情勢だ。写真:徳原隆元

「ミスターレオ」を襲名した栗山は2000本に“王手”。来季の達成は確実な情勢だ。写真:徳原隆元

 ヤクルトでの達成者は3人だが、古田敦也と宮本慎也の達成は生え抜き云々を抜いて偉大だ。両者とも大卒社会人を経由して24歳という“高齢”でのプロ入りから2000本に到達。大卒社会人での達成は他に和田一浩の3人しかおらず、うち2人がヤクルトからというのはすごい。ちなみにその和田も、初めて規定打席に到達したのが30歳という両者よりもさらに“遅咲き”、かつ捕手から外野手に転向というキャリアもまた驚きだった。

 おそらく「あれ3人だけ?」と多くの方が思うであろう球団が、今年日本シリーズ4連覇を目指すソフトバンクではないだろうか。達成者3人はいずれも南海時代に在籍した選手で、1987年の門田博光以降は輩出していない。惜しかった選手で言えば、“平成最後の三冠王”、松中信彦(1767安打)、巨人への無償トレード後にホークスへ復帰し、2012年に2000本安打を達成した小久保裕紀、メジャーへ移籍するまでに1343安打を打っていた切り込み隊長の川崎宗則らが挙げられる。

 昨オフに7年契約を結んだ今季のMVP候補、柳田悠岐は大卒経由かつレギュラー定着が25歳と遅かったこともあり、今年7月に1000安打と折り返しに来たばかり。最多安打のタイトルも獲得するなどハイアベレージとパワーが魅力ではある一方、柳田は同じくらいに選球眼もずば抜けている。それゆえ、タイプ的には安打数が稼ぎにくいというのは悩みの種かもしれない。むしろ、現在37歳ではあるものの松田宣浩は1728安打まで来ており、あと3シーズンあれば到達できそうである。
 
 そしてまだ、「生え抜き2000本安打」を一人も輩出していないが西武と楽天だ。楽天の場合は創設が浅いために致し方ないが、あの西武でまだ誰もいないのは驚きだろう。西武に所属したことがあって達成した選手は、秋山幸二や和田一浩、松井稼頭央と何人もいるが、“主力流出”の流れは現在も続いており、なかなか達成者が出て来なかった。2年前に楽天に移籍した浅村栄斗(現在30歳、1438安打)もその系譜に名を連ねるだろう。

 彼らとは違うが、西鉄時代の名遊撃手・豊田泰光は誰よりも速く達成した可能性があった。25歳5か月で通算1000安打に到達、これは坂本勇人と同じ歴代3位タイのスピード記録であり、遊撃手では史上初の首位打者獲得経験者でもある(坂本は2016年にセ・リーグ初の達成者となった)。しかし、経営難で62年オフに国鉄(現ヤクルト)へ金銭トレード。27歳時点の1280安打は坂本(1234安打)より多かった。もっとも、豊田の場合はヒジを故障して2000本に到達することなく引退している。

 そんな「生え抜き2000安打の不毛の地」となった西武だが、来年にその歴史を塗り替える可能性を持った選手がいる。「ミスターレオ」栗山巧だ。昨シーズンに石毛宏典(西武で1806安打)の球団通算安打記録を塗り替えた栗山は、今季も打撃好調で1926安打まで積み上げた。快挙達成時にはおそらく多くのライオンズファンが涙し、歓喜するに違いない。そして、栗山が数年前から支援してきている小児がんの子供と家族もまた、彼の偉業をともに祝ってくれるはずである。

 シーズンは終わったばかりではあるものの、「来季の楽しみ」として栗山の2000本安打を見守っていきたい。

構成●THE DIGEST編集部
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