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プロ野球

「銀行マン」たちが都市対抗で演じた野球ドラマ。四国銀行の『倍返し』作戦が動き出した

大友良行

2021.01.24

 今大会3試合で9打数4安打だった主将の柴田外野手も、ベスト8の原動力となった。打撃はもちろんこと、ハナマウイ戦では見事なバックホームで本塁突入を阻止し、ピンチを救っている。「ヒットは打てたのですが、長打と打点がなかったので、ここは何とかしなくてはと思っていました。ライン際に強く低い送球を投げれば刺せる自信がありました」とは本人の言葉だ。

 柴田は、監督とともに本店審査部に勤務する。100店舗前後ある支店から上がってきた顧客の融資案件の相談を受け、稟議書をチェック、最終判断するのが主な仕事だ。ただ、この柴田は、一昨年のクリスマスイブに大事件に襲われていた。仕事を終えて銀行を出た瞬間に、癲癇発作を起こし、全身がけいれんして意識を失ったのである。

 病院に緊急搬送されたが、前後の記憶は全くなく、意識が戻った12月29日に退院。しかし、年明けに2、3週間かけて大学尿院で精密検査した結果、脳腫瘍が判明し、以後は入退院を繰り返す毎日に。「リハビリ次第では、野球が出来る」との医師の診断を受け、グラウンドに戻ってきたのは7月初めの頃だった。「長いこと時間はかかるだろうが頑張ってみよう。主将でもあるし、みんなを引っぱっていかなくては」と決意して挑んだリハビリが順調に進んでいたこともあり、月末にはランニングができるまでに回復。8月上旬には、オープン戦で打席に立ち、同月末には公式戦に復帰した。
 
「自分の身体は、完全には戻らないだろうと思っています。できることは限られているので、その中で100パーセントやっていくつもりで、ここまできました。ベスト8という結果を示めせたことは、素直に嬉しい。反省点は多いです。優秀選手賞をもらったのはラッキーでした」

 古豪・パナソニックを下して進出したベスト8では、NTT東日本戦に敗れたものの、行員たちが午後6時からの試合開始に合わせて行内ホールに大型モニターを用意。約100人近くが青いバルーンを叩いて応援した。「新型コロナウイルス感染症が蔓延する中、地元に明るい話題を野球部が届けてくれたことは素晴らしいこと」と行員仲間からも高く評価されている。
 

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