「やっぱり!」と思ったファンもいるかもしれない。田中が日本で最も白星を挙げたのは、高校時代に過ごした“故郷の一つ”、日本ハムだ。通算23勝は唯一の20越え、防御率2.15、奪三振率9.23も実質全体2位と内容も素晴らしかった。そして“神“になった13年に挙げた24勝のうち、実に3分の1の8勝(防御率1.29)が日本ハムであり、ハムファンのトラウマとしても忘れ難いだろう。
2位は17勝を挙げたオリックス。2010年6月29日の試合では黒星をつけられたが、以降は10連勝中だ。田中の通算勝率.850は実質12球団ベストであり、本当に勝ちまくっている。今季も対戦することはほぼ確実で、11年越しに連勝記録が伸びるのか注目したい。
3位は絶対王者・ソフトバンクだ。田中のプロ初登板の相手としても記憶に新しく、この試合では1.2回6失点でKOされた。しかし田中は負け投手にならず、「マー君、神の子、不思議な子」ぶりの片鱗を発揮。そして次の対戦では9回2失点完投でリベンジすると、通算31試合で16勝3敗、防御率1.85、奪三振率9.25とカモにした。11年8月27日の対戦では、野田浩司に次ぐ歴代2位の1試合18奪三振も記録。“新・球界の盟主”との対戦は、今シーズンの趨勢を左右するカードとなるだろう。
当たり前だが、田中は交流戦でも強さを発揮している。通算35登板で21勝4敗1セーブ、防御率1.94を記録し、中日は4勝0敗、広島にも3勝0敗と一度も負けることがなかった。
その交流戦で、印象に残っている試合がある。08年6月22日の広島戦である。この試合、時の大エース・岩隈久志が先発すると、7回から田中がプロ入り初のリリーフ登板。3イニング無失点の好投で初セーブも記録して試合を締めた。野村監督の“粋“な計らいにより「エースのバトン」が受け継がれた瞬間だったのではないかと、のちの活躍ぶりを思うと運命の試合のように感じている。
さて、田中は“ほぼすべて“の球団に対して圧倒的な成績を収めてきたわけだが、唯一苦手にしている球団がある。西武ライオンズだ。
おそらく多くのファンは、楽天が初優勝を決めた13年9月26日、敵地でのマウンドに9回から登板して3番・栗山巧、4番・浅村栄斗に対して8球連続ストレートで二者連続空振り三振を奪い、両手を突き上げた“あの”ガッツポーズの印象が強いため、「田中は西武に強い」というイメージがあるかもしれない。
しかし、通算24試合で7勝13敗、勝率.350、防御率3.86、プロ入りから6年間は一度も勝ち越せない(13年は2勝0敗、防御率0.56)など、相当に相性が悪かった。この西武戦で田中がどんな投球を見せるのかも、大変興味深い。
2021年シーズンの開幕は、すべて順調であれば楽天は3月26日、楽天生命パークで日本ハムと対戦する。もし開幕投手・田中が実現し、そして通算で最も白星を挙げているチームからの8年ぶりの勝利となれば、これで「日本通算100勝」が達成されることになる。
“持っている男“、“神の子“であれば、開幕戦に大記録が樹立されるのではないかと、今からワクワクしてしまうが、果たしてどうなるだろうか。
文●新井裕貴(SLUGGER編集部)
2位は17勝を挙げたオリックス。2010年6月29日の試合では黒星をつけられたが、以降は10連勝中だ。田中の通算勝率.850は実質12球団ベストであり、本当に勝ちまくっている。今季も対戦することはほぼ確実で、11年越しに連勝記録が伸びるのか注目したい。
3位は絶対王者・ソフトバンクだ。田中のプロ初登板の相手としても記憶に新しく、この試合では1.2回6失点でKOされた。しかし田中は負け投手にならず、「マー君、神の子、不思議な子」ぶりの片鱗を発揮。そして次の対戦では9回2失点完投でリベンジすると、通算31試合で16勝3敗、防御率1.85、奪三振率9.25とカモにした。11年8月27日の対戦では、野田浩司に次ぐ歴代2位の1試合18奪三振も記録。“新・球界の盟主”との対戦は、今シーズンの趨勢を左右するカードとなるだろう。
当たり前だが、田中は交流戦でも強さを発揮している。通算35登板で21勝4敗1セーブ、防御率1.94を記録し、中日は4勝0敗、広島にも3勝0敗と一度も負けることがなかった。
その交流戦で、印象に残っている試合がある。08年6月22日の広島戦である。この試合、時の大エース・岩隈久志が先発すると、7回から田中がプロ入り初のリリーフ登板。3イニング無失点の好投で初セーブも記録して試合を締めた。野村監督の“粋“な計らいにより「エースのバトン」が受け継がれた瞬間だったのではないかと、のちの活躍ぶりを思うと運命の試合のように感じている。
さて、田中は“ほぼすべて“の球団に対して圧倒的な成績を収めてきたわけだが、唯一苦手にしている球団がある。西武ライオンズだ。
おそらく多くのファンは、楽天が初優勝を決めた13年9月26日、敵地でのマウンドに9回から登板して3番・栗山巧、4番・浅村栄斗に対して8球連続ストレートで二者連続空振り三振を奪い、両手を突き上げた“あの”ガッツポーズの印象が強いため、「田中は西武に強い」というイメージがあるかもしれない。
しかし、通算24試合で7勝13敗、勝率.350、防御率3.86、プロ入りから6年間は一度も勝ち越せない(13年は2勝0敗、防御率0.56)など、相当に相性が悪かった。この西武戦で田中がどんな投球を見せるのかも、大変興味深い。
2021年シーズンの開幕は、すべて順調であれば楽天は3月26日、楽天生命パークで日本ハムと対戦する。もし開幕投手・田中が実現し、そして通算で最も白星を挙げているチームからの8年ぶりの勝利となれば、これで「日本通算100勝」が達成されることになる。
“持っている男“、“神の子“であれば、開幕戦に大記録が樹立されるのではないかと、今からワクワクしてしまうが、果たしてどうなるだろうか。
文●新井裕貴(SLUGGER編集部)