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プロ野球

【パ・リーグCSファイナル展望】西武は昨季のリベンジなるか、初戦のニールが鍵。ソフトバンクは高橋礼をどう起用する?

氏原英明

2019.10.09

高橋礼は先発か中継ぎか。起用法が注目される。写真:徳原隆元

高橋礼は先発か中継ぎか。起用法が注目される。写真:徳原隆元

 一方、CSファーストステージの激闘を制してきたソフトバンクには勢いがある。また、昨年と同じような流れに吉兆を感じているところもあるだろう。ただ、一つ問題なのは、その激戦の代償だ。

 ソフトバンクはCSファーストステージの初戦でエース・千賀滉大を先発させたが、シーズン12勝の高橋礼は2戦目には登板させなかった。相手との相性などもあったが、もし、2連勝していたら、このシリーズの初戦で投げることができた。そんな腹づもりも数%は隠されていたはずだ。

 しかし、現実、高橋礼は3戦目に投げることになった。彼の好投があったから、勝てた試合でもあったが、では、この先はどのような起用が考えられるのだろうか。

 高橋礼がキーポイントになる理由は昨季からの因縁があるからに他ならない。
 
 今季の西武戦6試合に投げて4勝2敗。防御率3.00。今季は西武にとってとても厄介な相手として君臨した高橋礼だが、ルーキーイヤーの昨季もCSファイナル最終戦の先発を任された投手だったのだ。西武との因縁はこの時から続いているといってもいい。

 5回途中2失点。勝利投手の権利を得る前に降板したものの、ゲームを作ってリードした状態でリリーフ陣にバトンを渡すナイスピッチングだった。

「パ・リーグで一番打つチームを抑えられたことは自信になりました。日本シリーズ、そして来年に繋げていきたい」

 その経験をつなげての今季12勝、そして西武からの4勝だったというわけである。

 ペナントレースの最後の天王山でも対戦していて、その時は西武が高橋礼に土をつけた。

 当時の試合前、あるいは後の西武打線の高橋礼の印象を聞くと、決していい返答ではないのだ。あの日は土をつけたが、山川穂高は「実際は抑えられていましたからね。本当にいいピッチャーですよ」と笑顔は見せなかった。

 西武打線が高橋礼に手を焼いているのは、右のアンダースローに対して左打者が苦戦しているところだ。
 
 栗山巧がこんな話をしている。

「純粋に球が速いんですよ。変化球も混ぜて緩急あるし、高低、内外、使い分けできますからね」

 秋山翔吾も同じ印象を語っている。

「速いですよ。といっても、アンダースローにしては、という条件がつくところに問題があるんです。牧さんや、渡辺俊介さん、山中に比べて速いというだけで、千賀に比べたら、勝っているわけじゃない。多少、変化するストレートなので、打たされてしまうところはある」

 天王山では攻略したが、それが負けん気の強い高橋礼にとっては発奮材料となり得るわけだから、このシリーズでは厄介な存在だ。

 しかし、その起用法がどうなるか。
 7日に登板したばかりで、89球ですんだとはいえ、短く見積もっても中4日を空けるのが妥当と考えるべきだろう。とすると、第4戦目の先発になるわけだが、この日に先発した場合、残りの2試合で先発はないだろうし、リリーフ登板も簡単ではないだろう。

 高橋礼を1試合のみの登板に終わらせるのか、それとも……第2先発として準備させるのか……という起用法の悩みが出てくる。

 ソフトバンクは初戦の先発に和田毅を抜擢する。2戦目はおそらく千賀、3戦目がバンデンハーグという予想がつくが、前回のバンデンハーグの状態から考えるとどれだけ長いイニング投げられるかは不透明だ。そこで、高橋礼をブルペン待機させる策は考えられる。そして、そのまま、毎試合、ブルペンにおいておく。あるいは、ここという時の1戦にという考えもあるだろう。

 いずれにせよ、その起用法が注目される。

 この二人の状態次第で、このシリーズは大きく分かれるのではないか。

文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。

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