この日のブルペンでは、珍しいシーンに遭遇した。

　ロッテの投手陣が投球を終えた後、ヤクルトの先発予定だった金久保優斗がブルペン入り。実戦で試したいことがたくさんあったという４年目右腕が、伊藤智仁、石井弘寿両投手コーチが見守る中、投球を行っていた。

　そこへ投手がアジリティメニューに入ったロッテ・吉井コーチが姿を見せた。３人は吉井がヤクルトに在籍していた1995年から97年の３年間、故・野村克也監督の元で共に戦ったかつてのチームメート同士、身振り手振りを交えながらいろいろと意見を交換した様子だった。
  　両チームにとって、貴重な実戦機会が一つ減ってしまうのは残念なことだ。ただ、ロッテにとっても、実戦が続くことで野手陣にバットを振り込む時間を作れなくなるという懸念がある中、松中臨時コーチが帯同している時期に、こうした時間を作れたことは、むしろプラスと捉えることもできる。

　人は自然には逆らえない。この日の雨を「恵みの雨」にすることができるのか。ピンチをチャンス変えること。こういう経験がシーズンにも繋がってくるような気がしてならない。

取材・文●岩国誠

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