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プロ野球

【美馬学のアマチュア時代】プロへの道を切り開いたリリーフでの快投!大学、社会人で急激にスピードがアップ

西尾典文

2021.02.10

美馬は藤代高時代の2年春に選抜にも出場している。写真:産経新聞社

美馬は藤代高時代の2年春に選抜にも出場している。写真:産経新聞社

 毎年新たなスターが出現するプロ野球の世界。しかし、今を時めく選手たちは、必ずしもアマチュア時代から高い評価を受けていたわけではない。そんな“現在”のスター選手のかつての姿を、年間300試合現地で取材するスポーツライター・西尾典文氏に振り返ってもらった。今回紹介するのは、昨年FAで移籍したロッテで二桁勝利をマークし、今年もローテーションの中心として期待される美馬学だ。

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 美馬の出身は茨城県立藤代高校。現在は専大松戸で指揮を執る持丸修一監督が指導していた時代で、1年秋からは主戦となり2年春には選抜にも出場している。当時茨城に住んでいたこともあり美馬の投球もよく見ていたが、センスはあるもののスピードには乏しく、むしろミートの上手い打撃の方が強く印象に残っている。当時同じ茨城県内では東野峻(鉾田第一→巨人)、須田幸太(土浦湖北→早稲田大→JFE東日本→横浜)が同学年で美馬と同様に下級生の頃から主戦として活躍しており、この二人に比べると美馬は明らかに格下という立ち位置だった。
 
 中央大進学後は故障もあって下級生の頃はプレーを見る機会がなく、こちらも存在を忘れかけていたが、3年秋に久しぶりにそのピッチングを見た時の衝撃は相当なものだった。プロフィール上の体重が劇的に増えていたわけではないのに、下半身が明らかに大きくなり、140キロ台後半を連発する本格派へと展望を遂げていたのだ。

 当時はリリーフを任されていたため、ペース配分を考えずに腕が振れたということも大きかっただろう。結局4年秋に故障して大学からのプロ入りは見送られたが、社会人でもリリーフとして活躍。アマチュア時代、最後に見た2010年の都市対抗、NTT西日本戦では、最終回に登場して最速150キロのストレートと130キロ台後半のスライダーを武器に三人で試合を締めている。この投球を見てドラフト指名を確信した。

 プロ入り後は2年目から先発に戻り、現在はスピードよりも変化球と投球術が光るタイプとして大成しているが、大学、社会人での急激なスピードアップがなければプロへの道が開けることはなかっただろう。小柄でも、また度重なる故障があっても、簡単に技巧に走らずに軸となるストレートを磨くことの重要さを教えてくれた投手と言えそうだ。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
 

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