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高校野球

将来性たっぷりの八戸西・福島蓮。敗戦後のインタビューに見せた投手としての矜持<SLUGGER>

氏原英明

2021.03.23

 メジャーリーグのスカウトなどに取材をすると、筋骨隆々といった見た目の投手よりも、肉付きがない細身の体躯の投手の方に将来性や魅力を感じると話してもらったことがある。トレーニングの進化で、今では高校球児であってもかなりの肉体を誇る選手が出てきたが、未完成さは魅力の一つだという。

 長身の選手には骨端線が閉じておらず、まだ成長期の過程にあるケースも少なくないと聞く。そのため、体がフィットしていく時期が一般的な高校生より遅く、体格もガッチリしづらい。それが成長痛につながったり、あるいは高いパフォーマンスを安定して発揮できないとうことの原因にもなる。

「いつもと違うマウンドに自分が対応できなかったところもある」

 この日の最速は139キロ。本来の福島であれば142キロは出るが、元々の持ち味であるコントロールも含めて、力をフルに発揮しきれたとは言い難かった。
 福島は言う。

「普段はストレートをインコース、アウトコースに決められるんですけど、それができなかった。試合中に修正できなかったのも大きかったです。中学生からの夢の舞台に立てたことは嬉しかったですけど、しっかり課題を修正して、チームワークを上げてもう一度帰ってきたいです」

 今大会には、福島と同じく長身の達孝太(天理)や小園健太(市和歌山)、畔柳享丞(中京大中京)など、本格派タイプの好投手が数多く出場している。現時点で福島と彼らとの差は大きいは間違いない。今大会はその差を知るための機会だったのだろう。

「彼らにいつか勝ちたい思いはありますか――」

 そう尋ねると、福島は「あります」と応えた。

 その力強い返事は、彼の未来へつながるものであると信じたい。

 この夏になるのか、もっと先になるのか。福島が今大会の注目投手たちと同じレベルに並ぶ日が来ることを待ちたいと思う。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。

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