2年ぶりの開催となった選抜高校野球。プロのスカウトも注目する選手が多いなか、とりわけ見事な活躍を披露した投手、野手を「その日のMVP」として選出していこう。
大会3日目は以下の選手をセレクトした。
■投手MVP
毛利海大(福岡大大濠3年):9回、被安打4、1失点(自責点1)、10奪三振、1四球
投手は抜群の安定感でチームを勝利に導いた毛利を選出した。立ち上がりから緩いカーブを有効に使い大崎打線を翻弄。2回の打席で自打球を受けて一時は治療でベンチ裏に下がり、それ以降の中盤までは球数も多くなるなど苦しい場面もあったが、最後まで1人で投げ切った。
この日の最速は138キロ、アベレージでも130キロ台中盤と目立つスピードはないものの、下半身でしっかりリードできるフォームで球持ちが長く、打者は差し込まれることが多かった。冒頭でも触れたように100キロ台のカーブで緩急をつけることができ、スライダー、チェンジアップの精度も高い。1点差で迎えた終盤の8回に三者連続三振、9回も三者凡退と緊迫した場面でも落ち着いた投球は見事。自打球を受けた足の状態は気がかりだが、万全なら2回戦以降も攻略はかなり困難な投手と言えるだろう。
■野手MVP
川上陸斗(福岡大大濠3年/4番・捕手):4打席4打数0安打
4番に座る打撃ではノーヒットに終わったものの、守備で勝利に大きく貢献した。まず何よりも素晴らしいのがスローイングだ。イニング間のセカンド送球は2.00秒を切れば強肩と言われるが、この日の最速は1.85秒をマーク。地肩の強さだけに頼ることなくしっかりフットワークを使って投げられ、コントロールも安定している。
3回には、ワンバウンドの投球が前にこぼれた隙に二塁を狙ったランナーを素早い送球で封殺。1点差に追い上げられた8回2死一、二塁の場面では、二次リードを大きくとった二塁走者を、これも見事な送球でアウトにしてピンチを脱出した。ミットの動かない安定したキャッチング、毛利の良さを引き出した配球面も見事だった。バットを振る力もあるだけに、2回戦では打撃でも活躍を見せてくれることを期待したい。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
大会3日目は以下の選手をセレクトした。
■投手MVP
毛利海大(福岡大大濠3年):9回、被安打4、1失点(自責点1)、10奪三振、1四球
投手は抜群の安定感でチームを勝利に導いた毛利を選出した。立ち上がりから緩いカーブを有効に使い大崎打線を翻弄。2回の打席で自打球を受けて一時は治療でベンチ裏に下がり、それ以降の中盤までは球数も多くなるなど苦しい場面もあったが、最後まで1人で投げ切った。
この日の最速は138キロ、アベレージでも130キロ台中盤と目立つスピードはないものの、下半身でしっかりリードできるフォームで球持ちが長く、打者は差し込まれることが多かった。冒頭でも触れたように100キロ台のカーブで緩急をつけることができ、スライダー、チェンジアップの精度も高い。1点差で迎えた終盤の8回に三者連続三振、9回も三者凡退と緊迫した場面でも落ち着いた投球は見事。自打球を受けた足の状態は気がかりだが、万全なら2回戦以降も攻略はかなり困難な投手と言えるだろう。
■野手MVP
川上陸斗(福岡大大濠3年/4番・捕手):4打席4打数0安打
4番に座る打撃ではノーヒットに終わったものの、守備で勝利に大きく貢献した。まず何よりも素晴らしいのがスローイングだ。イニング間のセカンド送球は2.00秒を切れば強肩と言われるが、この日の最速は1.85秒をマーク。地肩の強さだけに頼ることなくしっかりフットワークを使って投げられ、コントロールも安定している。
3回には、ワンバウンドの投球が前にこぼれた隙に二塁を狙ったランナーを素早い送球で封殺。1点差に追い上げられた8回2死一、二塁の場面では、二次リードを大きくとった二塁走者を、これも見事な送球でアウトにしてピンチを脱出した。ミットの動かない安定したキャッチング、毛利の良さを引き出した配球面も見事だった。バットを振る力もあるだけに、2回戦では打撃でも活躍を見せてくれることを期待したい。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。