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高校野球

高橋宏斗から受け継いだ「心構え」と「プロの投球」。中京大中京・畔柳享丞、12K完封劇の“裏側”

氏原英明

2021.03.25

 これには先輩で、昨年のチームの大エースだった高橋宏斗(中日)の影響もある。

「去年の甲子園の交流戦で、宏斗さんのピンチの時のギアの上げ方を見てきました。今日、ピンチを招くことが多かったんですけど、ピンチの場面をしっかりと抑えることができたのはよかった」

 今日うねり上げたのは「高め」に投げたストレートだ。野球の基本として、低めに投げることをよしとされるが、昨今の野球界は「高めのストレート」の重要性が認識されるようになっている。今季から楽天に復帰した田中将大も高めを投げることをすでに披露しているが、プロの一流と同じようなピッチングスタイルを見せつけているのも見逃せない。

 ただ、それは意図的かと言うと、畔柳は少し苦笑いを浮かべてこう語った。
 
「どっちもあるんですけど、今日は途中から高めのストレートを狙ったところはありました。1、2回は良くなかったんですけど、3回以降は自分の真っ直ぐを投げることができました」

 今大会の注目選手では“一番最後”の登場。「天理の達(孝太)からは連絡があった」と明かしたが、ライバルたちに負けられない意地が今日のピッチングにもつながったところもあるようだ。

 9回を投げて被安打6の12奪三振、完封。前評判に違わぬ、ピッチャーであること見せた完封劇だった。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。
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