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プロ野球

「ダメならセットに戻ればいいやん」藤浪晋太郎はなぜフォーム改造に取り組んだのか。試行錯誤の末に掴んだ“自信”

チャリコ遠藤

2021.04.15

2019年の藤浪はセットポジションからの投球に苦戦。周囲の喧騒も強まり、満足に結果を残せない日々を送った。(C)THE DIGEST

2019年の藤浪はセットポジションからの投球に苦戦。周囲の喧騒も強まり、満足に結果を残せない日々を送った。(C)THE DIGEST

 藤浪が得た2つの選択肢はマウンドでの危機管理を可能にさせた。

 実際、練習試合やオープン戦では一貫してワインドアップで投げ続けていたが、開幕後は4月2日の中日戦でもセットポジションにチェンジしている。そして横浜では4回以降に直球の制球が安定し、今季最長の7イニングを投げ切る粘投の一因になった。

 もしも、あのまま振りかぶって投げ続けていたら……という想像は野暮でも、2つのフォームを織りまぜて白星をもぎ取ったという事実は、ローテーションでシーズン完走を目指す本人にとって決して小さなことではない。
 
 昨年まではキャンプ中のみならず、シーズン中ですら「あれも違う、これも違う」と文字通り迷走しながら、腕を振る日も多かったという藤浪。技術的なことはもちろん、「土台」があるいまは精神的な安定にも繋がり、「あとは技術を高める、勝ってたときのボールを追い求めていくしかない。そういうレベルまでには来たと思う」と自信を口にする。

 次の登板も、彼は1球目から振りかぶるだろう。進化を目指す向上心と、勝つために理想を捨てる勇気――。そこにはたしかに、2人の藤浪晋太郎がいる。

取材・文●チャリコ遠藤

【著者プロフィール】
1985年生まれ、大阪府出身。春日丘高、関西大を経てスポーツニッポン新聞社に入社。2010年から現在に至るまで阪神タイガース担当一筋。趣味は釣りで主なフィールドは大阪湾、明石、淡路島。100センチ超えのブリが目標。PRIDEからハマり格闘技も観戦する。
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