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プロ野球

“最強新人クローザー”・栗林良吏。大学で指名漏れの屈辱も、社会人で得た収穫とは?

西尾典文

2021.05.04

 大学卒業時にはプロからの指名はなかったものの、社会人でも着実に成長。そして、その評価を不動のものにしたのが、昨年の都市対抗予選の東邦ガス戦だ。

 コロナ禍でなかなか試合が行なわれず、シーズン最初の公式戦が都市対抗予選という難しい状況だったが、立ち上がりからエンジン全開で相手打線をまったく寄せ付けないピッチングを披露。最速150キロをマークしたストレート、カーブ、スライダー、カットボール、フォークを自在に操り、7回を投げて被安打2無失点、10奪三振という圧巻の内容でチームを勝利に導いたのだ。

 これだけの三振を奪っていながら球数はわずか88球というところにも、凄さがよく表れている。点差が離れたため7回で降板したが失点しそうな雰囲気がなく、投げ続けていても完封した可能性は高かっただろう。この日は全12球団、30人を超えるスカウトが集結していたが、その前でこれだけの実力を発揮できるというのも見事という他ない。
 
 社会人の2年間で大きく成長したのが、変化球の精度と勝負所でギアを上げられるという点だ。大学時代からボールの質自体は素晴らしいものがあったが、ストレートも変化球も高めに浮くケースが目立ち、前述した明治神宮大会の九州共立大戦ではそのボールをことごとくと捉えられていた。また、ドラフト後に行なわれた都市対抗でも7回13奪三振と好投を見せながら、2回に浴びたツーランの2失点だけで負け投手になり、社会人最後の試合でも1球の怖さを味わった経験がプロでも生きているはずである。

 現在の状態を維持することができれば、史上初となるルーキーでの最多セーブ獲得も期待できるだろう。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
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