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MLB

「日本人初」よりも“価値”? 大谷翔平の球宴HRダービー出場に興奮するワケ

新井裕貴(SLUGGER編集部)

2021.06.19

1年目にダービーへ出場したゲレーロJr.は目立ちまくり、現在の知名度につながった。大谷もさらなる人気アップは間違いなし?(C)Getty Images

1年目にダービーへ出場したゲレーロJr.は目立ちまくり、現在の知名度につながった。大谷もさらなる人気アップは間違いなし?(C)Getty Images

 今年、三冠王を狙える勢いのブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)は、メジャー1年目の2019年にダービーへ出場した。球界最高の有望株と評されていながらも前半戦は8本塁打に過ぎず、なぜ彼を招待するのかと批判の声も少なくなかった。

 しかし、いざ当日となると、ゲレーロJr.はその才能を遺憾なく発揮。2次ラウンドでは、対戦相手のジョク・ピーダーソン(当時ロサンゼルス・ドジャース)も素晴らしい活躍で勝負は2度の延長戦に突入し、ゲレーロJr.はダービー史上最多40本をスタンドに叩き込んで見事勝利を収めた。この至高のバトルは、CMを含めて30分以上に及んだ。2人のバッティングを、それだけの時間にわたってファンは堪能したのである。

 これだけ目立てれば、自ずと知名度もついてくる。SNSトレンドでもゲレーロJr.の名前がずっと上位に並び、実況も名前も呼ぶので自然と覚えられる。近年は球界にスター不在と叫ばれているが、ホームラン・ダービーはスターを“宣伝”する意味でも、非常に有効。大谷の人気はすでに非常に高いが、また一段階以上アップする可能性もあるだろう。それこそ全国区に。
 
 もし、大谷が決勝戦まで進めば、我々は天才のバッティング“だけ”を12分間も楽しめる。一度でも大谷の打撃練習を見た人なら分かると思うが、彼の打撃練習は本当にすごい。見ていなくとも、その音を聞くだけで大谷が打っていると分かるほど、“レベチ”。飛距離は言わずもがなである。想像しただけで、ワクワクしてこないだろうか。

 過去の出場者の中には、「ダービーで頑張りすぎてスウイングが崩れた」「疲労の溜まり方は尋常じゃなく、また出たいと思わない」と弊害を指摘する声もある。しかし、大谷は過去の常識を吹き飛ばしてきた男。そのマイナス面すらも、何事もなかったように乗り越えてくれると、期待、いや確信している。

 ホームラン・ダービーは毎年楽しいものだ。しかし、今年は最高のものになるだろう。

構成●新井裕貴(THE DIGEST編集部)

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