また、今季の大谷はプルヒッティング(引っ張りの打撃)にも変化がみられる。
1年目は22本塁打のうちライトスタンドに放り込んだ打球は9本、2年目は18本中5本と、センターから左方向にアーチをかけていた。ところが、今季は33本中22本がライトスタンドへ明らかに引っ張って打っているのだ。
実際、引っ張り打球の割合は1年目の33.8から30.2→40.8→41.8%と上昇している。「引っ張ってフライをかち上げ、強い打球をスタンド叩き込む」という、スラッガーたる信念に近いものが、データからもうかがえるのだ。
現在のメジャーリーグにおいて最重要視されている「バレル」という概念がある。打球速度と打球角度の組み合わせから成り立ち、初速98マイル以上、角度26~30度の打球は高い確率で長打、本塁打になるというデータから、いかにしてこの「バレル」で打つかというのが打者にとってのテーマなのだ。
ここまで示せば分かると思うが、大谷は1打席あたりと1打球あたりのバレル率15.5%と26.0%がいずれもメジャートップ。そして、計測が始まった2015年以降においても、ともにダントツ1位である。
大谷の数字に最も近いのが、2017年に新人歴代最多(当時)52本塁打を放ったジャッジの1打球あたり25.1%だった。前半戦のスウイングを崩すことがなければ、この52本というのが目安になるかもしれない。
もちろん大谷も課題がないわけではなく、空振り率は球界ワースト級とコンタクト面には改善の余地がある。逆に言えば、弱点という弱点はこれくらいしか見当たらない。本塁打を狙う大抵のスラッガーが、空振り率を悪化させているにもかかわらずだ。
日本人、アジア人、そしてメジャーの歴代――。大谷の打撃の進化は、ありとあらゆるフィルターを通す必要もなく傑出したものである。とにかく怪我なくシーズンを完走できれば、我々は球史に残るパフォーマンスを見届けることができるはずだ。
構成●SLUGGER編集部
【PHOTO】世界が驚嘆する偉才・大谷翔平のキャリアを厳選ショットで一挙公開!花巻東、日ハム、エンジェルスでの活躍を振り返る
1年目は22本塁打のうちライトスタンドに放り込んだ打球は9本、2年目は18本中5本と、センターから左方向にアーチをかけていた。ところが、今季は33本中22本がライトスタンドへ明らかに引っ張って打っているのだ。
実際、引っ張り打球の割合は1年目の33.8から30.2→40.8→41.8%と上昇している。「引っ張ってフライをかち上げ、強い打球をスタンド叩き込む」という、スラッガーたる信念に近いものが、データからもうかがえるのだ。
現在のメジャーリーグにおいて最重要視されている「バレル」という概念がある。打球速度と打球角度の組み合わせから成り立ち、初速98マイル以上、角度26~30度の打球は高い確率で長打、本塁打になるというデータから、いかにしてこの「バレル」で打つかというのが打者にとってのテーマなのだ。
ここまで示せば分かると思うが、大谷は1打席あたりと1打球あたりのバレル率15.5%と26.0%がいずれもメジャートップ。そして、計測が始まった2015年以降においても、ともにダントツ1位である。
大谷の数字に最も近いのが、2017年に新人歴代最多(当時)52本塁打を放ったジャッジの1打球あたり25.1%だった。前半戦のスウイングを崩すことがなければ、この52本というのが目安になるかもしれない。
もちろん大谷も課題がないわけではなく、空振り率は球界ワースト級とコンタクト面には改善の余地がある。逆に言えば、弱点という弱点はこれくらいしか見当たらない。本塁打を狙う大抵のスラッガーが、空振り率を悪化させているにもかかわらずだ。
日本人、アジア人、そしてメジャーの歴代――。大谷の打撃の進化は、ありとあらゆるフィルターを通す必要もなく傑出したものである。とにかく怪我なくシーズンを完走できれば、我々は球史に残るパフォーマンスを見届けることができるはずだ。
構成●SLUGGER編集部
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