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【データで見る大谷翔平】パワー全盛時代に風穴を開ける走力という“武器“。「スピード・スコア」は両リーグ8位の7.3を記録

THE DIGEST編集部

2021.07.16

平凡な内野ゴロですらも快足でヒットにしてしまう。そんな大谷の脚力はメジャーでも傑出している。(C)Getty Images

平凡な内野ゴロですらも快足でヒットにしてしまう。そんな大谷の脚力はメジャーでも傑出している。(C)Getty Images

「スピード・スコア」という指標がある。盗塁成功率、盗塁施行、三塁打割合、どれだけ本塁に生還できたのかを基に算出される数値で、簡単に言えばスピードとベースランニングを評価したものである。

 平均が4.5を超えると好成績で、7.0以上は球界トップクラスという目安になるが、大谷は両リーグ8位の7.3を記録。5月下旬までは両リーグ1位だったことを考えると順位は下降気味だが、リーグ最多の三塁打4本もあって、依然としてトップクラスを維持している。

 大谷のベースランニングと言えば、7月2日のボルティモア・オリオールズ戦が一番分かりやすい例だ。同点の9回に四球で出塁した大谷は盗塁を決めると、浅いライト前ヒットにもかかわらず、激走してサヨナラのホームを踏んだ。まさに「足で得点を生み出した」プレーだった。

 件の「スピード・スコア」の算出基準にはないものの、相手の虚を突きセーフティバントを決める場面も見慣れた光景だ。6月16日のオークランド・アスレティックス戦で大谷が本塁打を打った次の打席でバント安打を決めると、試合後にマッドン監督は「オオタニの本能や洞察力について話す時はいつでもそうなんだが、まさにそれが5回のプレーに表れている。自ら考えて野球ができる選手と言えるだろうね。私からすれば、あのバントは600フィート(約182メートル)飛ばしたホームランよりも印象的だった」とコメントした。
 
 現代野球はパワー全盛の時代だ。投手の超高速化に対応するため、打者は得点効率のいい本塁打を追い求めるようになった。そして同時に、バットに当てて安打を稼いだり、盗塁や野球IQに裏付けられたベースランニングを意識した選手が減少している。ただでさえアクションの少ない野球において、さらに動作が減り、「つまらない」という声は球界内外から届くようにもなった。

 そうした球界の置かれた状況を考えても、大谷の存在は際立っている。最も得点効率の高い本塁打、さらには長打数も両リーグトップを誇りながら、「頭を使った野球」を体現して先の塁を奪い、そしてフィールドにアクションをもたらすスピードも披露しているのだ。

 大谷の走塁の傑出ぶりは、あらゆる数字が証明している。そしてそれは、データに支配された球界に風穴を空ける武器でもある。だからこそ、彼のプレーに誰もが目を奪われるのかもしれない。

構成●SLUGGER編集部

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