●深沢鳳介（専大松戸）
　選抜準優勝の明豊を相手に被安打6、11奪三振完封と圧巻の投球でチームの甲子園初勝利に大きく貢献した。サイドスローとスリークォーターの中間くらいの腕の振りで、ストレートは140キロ台前半と驚くような速さはないが、コーナーを突く制球力の高さは見事。緩いカーブで緩急をつけ、シュート、スライダーと対になる変化球のレベルも高い。高校３年時点の総合力は先輩の横山陸人（ロッテ／2019年４位）より上だろう。

●秋山正雲（二松学舎大付）
　昨年秋はまとまりのある小柄なサウスポーという印象だったが、最終学年で驚くほどストレートが力強くなり、ドラフト候補に相応しい投手へと成長した。アベレージのスピードは140キロ前後だが、勝負所でギアを上げた時のボールは空振りを奪える勢いがある。上手く抜けた時のチェンジアップのブレーキも抜群だ。今年はサウスポーの候補が少ないだけに、支配下での指名も十分に狙えるだろう。

●黒田将矢（八戸工大一）
　春の県大会で149キロをマークして一躍注目を集めた大型右腕。準々決勝の八戸西戦は相手の福島蓮も好投手ということで12球団、20人以上のスカウトが集結した。長所は大型投手にありがちな鈍重さがないこと。リリースはばらつくものの、跳ねるようなフォームで豪快な腕の振りは魅力がある。下位指名で狙えそうなスケール型の投手として面白い存在だ。
  ●大川慈英（常総学院）
　選抜でも146キロをマークして注目を集めたが、この夏はストレート、変化球ともに大幅にレベルアップを果たして驚かされた。楽に腕を振って140キロ台中盤のスピードをマークし、ストレートと変わらない腕の振りから鋭く変化するカットボール、スライダーに加えて緩いカーブ、チェンジアップも操る。どのボールでも空振りをとれ、コントロールも高レベル。この夏は茨城大会５試合で自責点０と圧巻の投球内容だった。

●山本大揮（九州国際大付）
　投球が確認できたのは福岡大会の小倉戦。大会前に脇腹を痛めたということだったが、春の九州大会で見た時と比べても腕の振り、フォームの躍動感ともに明らかにアップしており、ドラフト候補に相応しい投球を見せた。確認できた最速は144キロ。堂々とした体格、鋭い腕の振りほどは数字が出ていないが、それでもフォームに悪い癖がなく、変化球のレベルも高いだけにプロ志望なら支配下で指名される可能性は十分だ。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所（PABBlab）」でも多くの選手やデータを発信している。