専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
プロ野球

「自分の性質を知ることが大事」ヤクルト主砲・サンタナが語った“独特”な本塁打への想い「何か言われても変える必要はない」

新井裕貴(SLUGGER編集部)

2021.11.11

取材の直後、サンタナは彼らしい逆方向の一発を叩き込んだ。(C)Getty Images

取材の直後、サンタナは彼らしい逆方向の一発を叩き込んだ。(C)Getty Images

 さらにサンタナは「バットに当たった瞬間から押し込む、という感じ。たぶんフォロースルーが大きいから、スポットを長く捉えられるのかな。無理に引っ張りすぎないで、スウィングの勢いのまま振ってるから、右方向に飛ぶのかもね。昔からあまり変わってない気がするよ」 と語る。

 小さい頃からフライが多かったという。そこに肉体が成長したことで打球も力強さを増し、メジャーで年間30本を打つ打者に成長できたということか。冗談交じりに、「あなたは『フライボール革命』の先駆者だったのかもしれませんね」とも伝えると、彼は笑いながら、そして真剣な目つきで言葉を続けた。 

「確かにそうかもしれないね(笑)。でも、やっぱりフライは長打になりやすいから積極的に狙うべきだと思う。そのなかで、自分の性質を知ることも大事なんだ。例えば、僕が無理やり引っ張ろうとしたら、何かが崩れて悪い結果になるかもしれない。でも、逆方向に打球が飛びやすいことを理解していれば、誰かに何か言われても変える必要はない」 
 
「自分を知る」。シンプルな言葉だが決して簡単なことではない。サンタナが自分の能力に気づいたのも、おそらく何万スイングと練習を行なうなかで、見つけることができたのではないか。自分を貫き通して成長した結果、メジャーのレギュラーとして活躍、そして日本でチームの優勝に貢献した。 

 この取材後の試合、当時マリナーズのサンタナは1対2で迎えた3回、2死満塁のチャンスで逆転グランドスラムを叩き込んだ。既視感のある、振り遅れたようなスウィングで、右翼席に。 

 2年経っても変わらぬ姿が日本でもあった。果たして、このポストシーズンでサンタナは何回、“振り遅れる”のだろうか。決してかっこよくないけれども、その打球の行方を見るのが本当に楽しみだ。 

取材・文●新井裕貴(SLUGGER) 

【動画】取材後に“宣言通り”の逆方向への一発!
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号