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26年前に球界を襲った“悪夢”が再び?MLBロックアウトについて知っておくべき5つのクエスチョン<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2021.12.03

10年総額3億ドル以上の契約が確実と言われるコレアも契約せず。果たして彼の新天地が決まるのはいつの日か。(C)Getty Images

10年総額3億ドル以上の契約が確実と言われるコレアも契約せず。果たして彼の新天地が決まるのはいつの日か。(C)Getty Images

▼ロックアウトは至った背景とは?

 労使交渉が決裂に至ったのは、1994年8月~95年4月のストライキ以来実に26年ぶりだ。この時はレギュラーシーズンが計900試合以上も行なわれなかっただけでなく、史上初のワールドシリーズ中止という事態にまで発展。世界規模でファン離れが加速した。

 そもそも、ロックアウトは、73年を皮切りに過去に3度行なわれていて、直近は90年2月15日からの1か月間だった。この時はオープン戦が中止、シーズン開幕も1週間延期された。

 94~95年のストライキの反省から、オーナー側と選手会はその後長く協調関係にあったが、近年は関係が再び悪化。選手会は、放映権料の大幅な増額などによりMLBの収益は右肩上がりにもかかわらず、セイバーメトリクスの普及による効率重視の球団経営や、タンキング(半ば意図的に低迷することでドラフト上位指名権を獲得する再建手法)の横行で年俸総額はむしろ下がっていることに強い不満を持っている。さらに、新型コロナの流行でシーズン開幕が延期された昨季は、再開の条件をめぐってオーナー側と選手会が激しく対立。今回の労使交渉は、当初から難航が予測されていた。
 
▼労使交渉の主な争点は?

 最大の争点はもちろん「カネ」をめぐる問題だ。まず、選手会は年俸調停権/FA権取得期間(サービスタイム)の短縮を主張。これにより、昇格後3年間は年俸がほとんど上がらず、ようやくFA権を取得しても今度は年齢を理由に買い叩かれる選手が多い現状を改善したいと考えている。

 これに対してオーナー側は29歳6か月で全選手がFAとなる「ユニバーサルFA」という壮大なアイデアを提案しているが、早期にメジャー昇格した選手が現在よりも著しく不利になるため、選手会は反対している。

 選手会はタンキング防止のための対策も要求していて、オーナー側はこれに応える形で年俸総額下限の設定を提案。年俸総額の下限を設けることは確かにタンキング防止の一環にはなるが、オーナー側は同時に現在の戦力均衡税下限ラインを大きく引き下げようとしており、選手会は「これではFA市場の活性化につながらない」として反発している。

▼ロックアウトはいつ終わるのか?

 オーナー側も選手会側も、ロックアウトはあくまで「労使交渉に集中するための期間」との認識で、2022年のレギュラーシーズン開催に対する影響を望んでいない。このため、遅くともスプリング・トレーニングが始まる来年2月中旬までには決着すると予想されている。

 だが、現時点で「落としどころ」も不透明のため、長期化する恐れも否定できない。仮にキャンプイン直前に妥結したとしても、鈴木やコレアをはじめとする数多くのFA選手はその時点から改めて入団先を見つけなければならず、いずれにしても大混乱となる可能性は否定できない。

構成●SLUGGER編集部
 

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