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MLB

メジャーで本当に通用するのか? MLBスカウトたちが語った鈴木誠也の「長所」と「課題」<SLUGGER>

ジム・アレン

2022.01.01

●体格
 一部のスカウトは、鈴木があまりにも筋力をつけすぎたため、怪我のリスクが増し、耐久性も損なわれたのではないかと懸念している。14年にプロ入りした当時の体重は83㎏だったが、どんどん体格が大きくなり、現在は98㎏となっている。

 ただ、彼を間近で見てきたあるスカウトは、身体が大きくなったことはアメリカで成功を手にする上で障壁にはならないだろうと考えている。

「身体の柔軟性を維持する方法を学び、今はかつてイチローが通った施設でトレーニングをしている。本当に研究熱心なんだ」

 鈴木がMLB球団からどれだけの注目を集めるか、そしてどれだけの契約を得るのかは、近年、MLB入りした筒香嘉智(パイレーツ)と秋山翔吾(レッズ)が苦戦していることに多少は影響を受けるかもしれない。ただ、1年前と比べるとその度合いは低くなっているはずだ。

 筒香と鈴木はどちらもパワーヒッターという点は共通しているが、微妙な違いもある。そして、鈴木と秋山は、少なくとも打者としてはかなりタイプが違う。
 
 秋山は、MLBのスカウトが球団に警告するタイプの典型的な日本人打者だ。日本ではそれなりにパワーを発揮するが、アメリカでは急激に長打が出なくなり、攻撃面の貢献度がシングルヒットと四球、そして走塁面に限られてしまう類の選手だ。秋山は青木宣親とよく似たタイプだが、渡米時の年齢は青木より2歳上だった。

 この手の選手は、あるスカウトの言葉を借りれば「フロントフット・ヒッター」と分類できる。つまり、コンタクトの際に体重がほぼ前足に乗っているタイプの打者を指す。このタイプの打者は、ストライクゾーンの間をバットがゆっくり通過し、必要とあればファウルで逃げる。

「筒香も、たまにそうなる時がある。だが、鈴木のアプローチは違う」とそのスカウトは言う。「体重をかける際のバランスが取れている。三振は増えるだろうが、長打も多く打てるだろう。それに、アメリカの投手たちのスピードボールに簡単に押し込まれることもないはずだ」

「以前は4年2800万ドルくらいが妥当かなという感じだったが、今はそう思わないね」

 状況を変えたのは筒香だ。今年8月にパイレーツに加入した筒香は、後半戦のナ・リーグで最も活躍した打者の一人となった。筒香は記者たちに、ドジャースのマイナーでタイミングを取るコツをつかんだことが説明の要因だと語っている。筒香の活躍によって、MLB球団は他の日本人スラッガーも同じ教訓を学べるかもしれないと思うようになった。

「鈴木の契約予想額が変わったと思ったのは、そこが理由だ」とそのスカウトは言う。「今はもっと値段が吊り上がっているだろう」
 
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