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プロ野球

元阪神マートンが語った日本球界への感謝と大記録樹立への想い「あそこで成功できなければ、私は終わっていた」<2021百選>

THE DIGEST編集部

2021.12.30

稀代の安打製造機として名を馳せたイチロー。そんな偉才の存在がマートンの記録にも繋がった。(C)Getty Images

稀代の安打製造機として名を馳せたイチロー。そんな偉才の存在がマートンの記録にも繋がった。(C)Getty Images

 周囲の手助けと自身の順応性もあり、マートンはシーズンが開幕してからはよどみなく打ち続けた。そして10月5日のヤクルト・スワローズ戦で中澤雅人から痛烈なセンター前ヒットをマーク。これでイチローの大記録を抜いたのだ。

 この時の想いについてマートンは、こう語っている。

「イチローがアメリカに来たときに、私がよく聞かされていたのが、彼がシーズン安打記録を破る『チャンス』を与えられた、ということだった。私たち(MLB球団)が記録を彼に取らせないようにと勝負を避けなかったという意味でね。それが日本の文化圏にいる多くの人たちの目を開いたんだ。MLBの投手たちが彼に記録を破るチャンスを与えたことが、日本の多くの人の物の見方や考え方を変えたんだと思う。

 そしてあの瞬間だ。長い間、私は野球というものは、個人が何をしたかではなく、チームの勝敗にどれだけ貢献したかが大事だと思ってきた。でもあの時だけは、チームが勝つことよりもヒットを打つことのほうが重要だと感じた。頭の中では、『あれをして、これをして』というリストを作っていたけど、実際に達成してみるとそれはほとんど飛んでいたよ。『とにかく示すべきリスペクトを示すことができれば』って考えていたね」

 2015年シーズンに惜しまれながら退団したマートンは、マイナーでのプレーを経て2018年1月に引退。その後はカブスのフロントオフィスでも勤務した。勤勉さでも知られた彼は、いまも日本語で自身のSNSを更新するなど、日本愛を感じさせる。それだけにいつの日は、日本球界のために何らかの形で貢献してもらいたいものだ。

構成●THE DIGEST編集部

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