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プロ野球

琉球ブルーオーシャンズ初代監督・清水直行退任。2年間で感じた「沖縄野球の可能性」

岩国誠

2022.01.11

 全てが初めてとなった沖縄での独立球団の運営。経験不足や人員不足などもあり、立ち上げ当初から行き届かなかった部分が多々あったことは否めない。その上、プロ野球チーム本来の活動である試合でのプレーを、フランチャイズである沖縄で見せることも叶わなかった。

 8月の九州遠征時には、一部所属コーチと選手による規律違反に端を発し、チーム内での15名が新型コロナウイルスに感染。選手の中には、心身の健康を回復するまで時間を要するものもいた。

 また、報酬の未払いや減額でチームが揺れたこともある。GMでもあった清水は、9月に全選手と面談。それぞれの希望に沿って、多くの選手たちがチームを離れ、自由契約となった。

 想定通りにいかなかった2年間。難しい状況が続く中でも、サポートを約束した沖縄の企業、自治体、そしてファンの人々は、新たな挑戦を続ける新球団を支援し続けた。その気持ちに応え、今以上に地域に寄り添い、真剣に向き合っていくことができれば、思い描いていた県民に応援される球団になり得るのではないか。清水の胸から、その思いが消えたことはない。
 
「本当にすごく協力してくださったので、それを活かすことができなかったのは、もったいないと感じています。やり方さえ変えていくことができれば、沖縄でこういうチームが活動を行なうこと自体はとてもいいことだと思っているので、もっと光がちゃんと当たって欲しいですね」

『来季も琉球で』という思いはあった。しかし、球団との話し合いを受け、契約期間満了をもって、清水はチームを離れることになった。

「沖縄で新しくできた縁を少しずつ成熟させていきながら、今後の沖縄野球の発展にできることはしていきたいと思っていますし、努力していきたいと思います。最後に、ゼロから始まった新規の球団に挑戦しにきてくれた選手、コーチ、スタッフの皆さんと、短い間でしたが一緒にやれたこと、すごく感謝しています。ありがとうございました」

 困難な状況下の中、ともに戦ってきたチームスタッフへの感謝とともに、今後は活動拠点を東京に移すものの、個人として、沖縄の野球界に貢献していくことを誓った。

 選手やスタッフ、そのほとんどがチームを離れ、今回、新球団の舵取りを任されていた初代監督の清水もチームを去ることとなった。ただ、清水も語ったように、琉球に関わった多くの人たちのサポートよって、沖縄野球に新たな可能性が生み出されたのは確かだろう。今はその灯火が消えてしまわないことを願うばかりだ。

取材・文●岩国誠

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