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プロ野球

ゲレーロJr.に続け!清宮幸太郎の「大減量」を後押しするメジャー本塁打王の覚醒への軌跡<SLUGGER>

新井裕貴(SLUGGER編集部)

2022.01.12

“大谷のライバル”として昨季に本塁打王を獲得したゲレーロJr.。このオフも引き続き節制を続けている。写真:田口有史

“大谷のライバル”として昨季に本塁打王を獲得したゲレーロJr.。このオフも引き続き節制を続けている。写真:田口有史

 ゲレーロJr.がダイエットを敢行するに至ったのは自らの気づきだった。「ある日、ベッドから起きて鏡を見た時、急に思ったんだ。『いい加減にしなきゃ』って。僕は準備を怠っていた。仲間に謝らなきゃいけないと思った。ありがたいことに、僕が気持ちを伝えた時、みんなが快く受け入れてくれたんだ。そのことがモチベーションになったよ」とゲレーロJr.は振り返る。

 実は、ゲレーロJr.と清宮のバックグラウンドは似ているところがある。殿堂入り選手の父を持つジュニアはマイナー時代から天才的な打棒を披露し、メジャー昇格前から「将来は三冠王を獲得できる」と過大なまでの期待を寄せられていた。まだ実績も残していなううちから知名度も抜群で、メジャー1年目にいきなり球宴HRダービーにも招待されたほど。

 しかし1年目の15本塁打は周囲の期待からすれば、物足りない印象も与えた。2年目は60試合で9本塁打、OPS.791。1年目と同じように、決して悪くはないが期待外れと受け止めるファンは少なくなかった。

 意を決したゲレーロJr.はトレーナーと二人三脚で肉体改造に取り組んだ。トレーニングに加えて、間食やお酒、揚げ物、スウィーツも自制。ゲレーロJr.は「一人では難しかったと思う」と振り返るように、周囲からのサポートもあった。祖母が毎日、練習前のジュースを用意し、夕食の量も管理してくれた。油を使わないように直火焼きの料理を作り、スプーンも小さいものに変えた。  
 
 こうして19kgものダイエットに成功したゲレーロJr.は、新たな自分の肉体に自信を深めた。「いろいろな面で素早くなった。特に下半身はしっかり特訓したんだ。打席では下半身がしっかりしてないと、ボールが待てないからね」。

 清宮は秋季キャンプで減量指令が出た際、飛距離の低下を気にしていたが、ゲレーロJr.の場合はパワーダウンどころか、平均打球速度が前年から平均約4キロ以上も向上してMLB全体3位にランクされるなど、むしろ肉体改造の効果てきめんだった。1年先に凄すぎる成功者がいることは、清宮にとっても支えになってくれるはずである。 

 ゲレーロJr.が減量を決意して駆け込んだトレーナーは、過酷な道を歩む神童にこう語りかけたという。 

「ファンから期待外れだと言われることを、君は恥ずかしく思うべきだ。だって、君はメジャー最高の有望株だろ! アスリートらしく寝て、食べて、トレーニングしよう。来年だけじゃなく、これからもずっと」 

 プロ5年目を迎える清宮がどう変わっていくのか。新庄監督が就任した日本ハムは、今や球界内外からの注目度が高まっている。そこに、“最強の有望株”が覚醒の時を迎えることができれば、プロ野球全体がさらに盛り上がることは間違いない。新生・清宮幸太郎に、心から期待したい。

文●新井裕貴(SLUGGER編集部) 
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