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プロ野球

【西尾典文が選ぶ『最もすごいストレートを投げた大学生・社会人5人』】“松坂世代”の投手に“ジャスティス”、本当に凄かった7球団競合の剛腕<SLUGGER>

西尾典文

2022.02.25

2位:田中正義(創価大→16年ドラフト1位ソフトバンク)

「デビュー戦」という点でいえば、田中の大学初登板のインパクトは凄まじかった。大学2年春の開幕戦、田中はリーグ戦デビューでいきなり151キロをマーク。捕手の寺嶋寛大(創価大→ロッテ)を目当てに多くのスカウト陣も驚きを隠せない様子で、たまたまこの試合を現地で見ていたの私自身もその一人だった。

 そして、今も伝説となっているのはやはり3年時の大学日本代表とNPB選抜の壮行試合だ。

 山川穂高(西武)ら当時の若手有望株を相手に150キロ台のストレートで圧倒して7者連続三振。アマチュアの投手がここまでプロを相手にストレートで圧倒した例は他にはないだろう。5球団競合の末にプロ入りした“ジャスティス”だが、大学4年時から故障に苦しみ満足に結果が残せていないのは残念なところ。あの時の快投の再現を今季こそ見たい限りである。
 
1位:大石達也(早稲田大→10年ドラフト1位西武)

 最後まで2位の田中と悩んだが、わずかの差で大石を1位に選んだ。高校時代はどちらかというと制球力が魅力だったが、早稲田大進学後に驚くほどストレートが成長。とくに「2年まで」の投球は本当に圧巻だった。球速表示こそ150キロ前後だったものの、ホップするという表現がピッタシの、浮き上がるようなボールで打者のバットはことごとく空を切っていた。

 1年秋の神宮大会で八戸大(現八戸学院大)から4イニングで7奪三振の快投を見せた試合、八戸大の選手たちが「大石速かった~」と言いながらベンチ裏から引き上げてきたのが印象的だった。4年の時に本人から話を聞く機会があり、高校時代の方がフォームは良かったと答えていた。たしかに上級生になってフォームが崩れているようにも見えたが、それでも6球団が1位競合したというところに大石の凄さがよく表れている。

 社会人の選手も何度も見返してみたが、ストレートに関しては大学生5人が並ぶ結果となった。やはり社会人野球ではスピードよりも投球術に長けた投手が活躍しているということになりそうだ。また大学、社会人ではまだ160キロ超えは出ていないだけに、誰がその壁を突破するかにも注目していきたい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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