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プロ野球

俊足の岡林、パワーの鵜飼、好守の石川昂――絶賛売り出し中「若竜三銃士」の長所と課題<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.05.28

 新型コロナウイルス濃厚接触者に指定された関係で5月11日から離脱していたが、約2週間ぶりに復帰した5月24日の西武戦で、バンテリンドームの右中間にぶち込む一発。極端に投手有利な本拠地球場のハンデを一切感じさせていない。

 球場の違いなども考慮した攻撃指標wRC+は132で、本塁打王の岡本和真(巨人)や坂倉将吾(広島)を上回る。昨年のドラフトで2位指名された際には批判の声もあったが、結果で雑音を封じてみせた。

 ホームランだけでなく、豪快な空振りも日本人離れしている。三振率は、80打席以上の選手ではリーグ唯一の30%台。それ自体は長距離砲の宿命としてある程度やむを得ないとして、問題は選球眼の欠如だ。ボール球スイング率は40%を超え、ワンバウンドするような外角の変化球にも手を出して、立浪和義監督を苦笑いさせることもしばしば。持ち味は残したまま、もう少し打席アプローチが洗練されれば、さらに成績は伸びるだろう。

▼石川昂弥
〇 三塁守備はすでにゴールデン・グラブ級
× ストレート、スライダーへの対応に課題

 2019年ドラフトで1位指名された当時から「将来の4番」として高い期待を集め、自主トレをともに行う鈴木誠也(カブス)からも「モノが違う」と絶賛された逸材。プロ最初の2年は故障に苦しんだが、今季は開幕から三塁に定着している。
 
 ここまで、打率こそ.228と低いがチーム最多タイの5本塁打。菅野智之(巨人)から一発を放ち、広い甲子園球場の左中間にもぶち込むなど大器の片鱗を見せている。

 見逃せないのが守備での貢献だ。ここまで35試合で失策はわずか1。UZR5.6は三塁を100イニング以上守った両リーグ16人中ダントツ。2位の糸原健斗(阪神)が2.8だから、いかに群を抜いているか分かるだろう。堅実なグラブさばきと守備範囲の広さを兼備しており、レギュラー1年目でのゴールデン・グラブ獲得も大いにあり得るだろう。

 もちろん、まだ課題も多い。以前からストレートへの対応に問題があると言われていたが、球種ごとの得意・不得意を示す「Pitch Value」という指標もそれを裏付けている。100球当たりの得点増減を見ると、球速帯が「半速球」に近いツーシームやカットボールに強い一方、ストレートは-1.10にとどまっている。ただ、実はそれ以上に悪いのがスライダー(-3.07)。確かに、外角へ逃げるスライダーに手を出して空振りに終わる場面が多い印象はある。

 24日の西武戦でゲスト解説を務めた清原和博氏は石川について「とにかく経験を積んで失敗、凡打をいっぱいする。それが骨となり肉となる」と語った。同じことは岡林や鵜飼にも言えるはず。高橋宏斗や根尾昂も含め、竜の新時代を築く若武者たちに今後も注目していきたい。

構成●SLUGGER編集部
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