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「地球の70%は海。残りはベラスケスがカバーしている」エンジェルス内野陣を支える男が送った壮絶な生い立ち<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.06.01

エネルギッシュなプレーが持ち味のベラスケス。今後も色あせることなくチームを支えられるか注目だ。(C)Getty Images

エネルギッシュなプレーが持ち味のベラスケス。今後も色あせることなくチームを支えられるか注目だ。(C)Getty Images

 幼い頃からデレク・ジーターに憧れ、野球に打ち込む日々を送っていたベラスケス。しかし、薬物依存が深刻な問題となっている地区で育ち、周囲には“不良”が多かった。14歳の頃、ベラスケスも周りに感化されて無断で野球の練習を休んだこともあったという。

 しかし、そんな彼を導いてくれる人がいた。ニューヨーク市警で働き、覆面麻薬捜査官も担っていた父だ。父はベラスケスに「お前が今、つるんでいる奴らは良くない。関係をきっぱり辞めるべきだ。そして、自分が将来何をやりたいのかをしっかり決めろ」と語りかけた。

 この言葉がきっかけで目が覚めたベラスケスは、その情熱をすべて野球に注ぎ込むことになった。当時を述懐し、「僕にはドラッグに手を出した友人がいる。そして、薬物絡みで死んだ奴らもいる。もしかしたら、僕もその道に入っていたかもしれないけど、親父がすぐに気づいてくれたんだ」と語っている。

 2012年ドラフト全体7巡目でダイヤモンドバックスに指名されてプロ入り。6年の月日を経てレイズでメジャーデビュー後はなかなか結果を残せず、すでに5球団を渡り歩いてきた。苦難の道を経たからこそ、ベラスケスは今、メジャーのフィールドで戦う楽しさを噛みしめている。
 
 5月29日の試合前、エンジェルスナインはお揃いのTシャツを着ていた。そこにはこう書いてある。

「地球の70%は海で覆われている。そして、残りは“スカッド”(ベラスケスのニックネーム)がカバーしている」

 チームメイトに愛され、そして圧倒的な守備力で信頼を勝ち取っているからこそのフレーズ。今は完全に“専守防衛型”だが、ジョー・マッドン監督は打撃もまだ伸びる余地があると期待している。そしてこうも語っている。

「もし彼が打てるようになったら、彼の価値が上昇しすぎて契約できるチームもなくなるだろう。それほど凄いショートストップなんだよ」。

 悪の道には染まらなかったベラスケスだが、「血は争えない」と言うべきか、服装はいかにもストリートのチンピラ系。そのファッションはチーム内でも話題を集め、先日の遠征ではチーム内に「ベラスケスのような服装をしてくること」とお達しが出され、それぞれが「ベラスケス風ファッション」で集まった。

 押しも押されもせぬメジャーの正遊撃手としてヤンキー・スタジアムのフィールドに立つベラスケス。どんなプレーを見せてくれるか楽しみだ。

構成●SLUGGER編集部

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