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高校野球

【甲子園出場校実力番付】東西両横綱は大阪桐蔭と智弁和歌山で決まり!今年も近畿勢に実力校が揃う<SLUGGER>

西尾典文

2022.08.05

 それ以外のチームではやはり近畿勢に有力校が多い印象を受ける。中でも総合力の高さが光るのが天理だ。センバツまでは打撃のチームという印象だったが、エースの南沢佑音が奈良大会5試合無失点と安定感抜群の投球を見せるなど大きく成長。また、1年生ながら松本大和がレギュラーを獲得し、奈良大会ではチームトップの12打点をマークするなど得点力もアップしている。堅い守備も大きな強みだ。

 センバツ準優勝の近江も、エースの山田陽翔が度重なる怪我を乗り越えてしっかり夏に照準を合わせてきた。勝ち進むにはいかに山田を休ませるかがポイントとなるだろう。昨年夏ベスト4に進出した京都国際はエースの森下瑠大が故障で苦しんでいる間に森田大翔、松岡凜太朗の2人が大きく成長。森下も打撃で大きく貢献し、京都大会の決勝では先発マウンドに立つなど徐々に調子を取り戻してきている。森下の状態が戻れば、昨年に続いての上位進出も十分に狙えるだろう。
 
 それ以外の地域では、仙台育英、聖光学院の東北勢と明豊、興南の九州勢も力がある。仙台育英は力のある投手を複数揃え、選手層の厚さは出場校の中でも上位だ。攻撃面では長打は少ないものの足を使って少ないチャンスをものにできる。春夏連続出場の聖光学院は攻守のバランスの良さが目立つ。福島大会でエースの佐山未来が少し不安定だったのは気がかりだが、サウスポーの小林剛介が見事な投球を見せており、下位打線にも力のある打者が揃っている。センバツで近江に敗れた悔しさを晴らす可能性は十分だ。

 明豊は近年すっかりおなじみになった強力打線が今年も健在。投手陣が調子を上げてくれば、上位も狙えるだろう。興南はエースの生盛亜勇太の成長が大きい。打線もチーム打率はそれほど高くないが、効果的に長打が出ており、得点力は低くない。春夏連覇を達成した2010年以来の上位進出も期待できそうだ。

 昨年はベスト4すべてが近畿勢となったが、今年も全体的に近畿勢優位の状況は変わらないように見える。しかし、毎年甲子園で大きく成長するチームや選手も出てくるだけに、番付の上位には入らなかった中からも、勝ち進んでくる学校が出てくることを期待したい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。


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