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グリフィー親子のキャッチボール、父を亡くした日に解説したスモルツ――「親子の絆」がテーマになった「フィールド・オブ・ドリームス・ゲーム」<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.08.12

試合前日からツイッターを更新して、映画の思い出を語ったボトー。試合中のインタビューにも応じた。(C)Getty Images

試合前日からツイッターを更新して、映画の思い出を語ったボトー。試合中のインタビューにも応じた。(C)Getty Images

 試合はレッズが24歳のルーキー、ニック・ロドーロ、カブスは33歳のベテラン、ドリュー・スマイリーと両左腕が先発。初回、カブスは2死からパトリック・ウィズダムが死球で出た後、この日ならではのレトロユニフォームに身を包んだ4番・鈴木誠也が、左中間へのタイムリー二塁打。カブスはその後もロドーロに連打を浴びせて3点を先制する。

 3回表の守備中、ボトーは一塁を守りながらインタビューに応じ、前日のツイートと同じように映画への思いとともに、「今日がキャリアで最も重要な試合の一つだ」とも語った。これでリラックスできたのか、3回裏には2死から四球で出塁。レッズは2死一、二塁のチャンスを作ったがスマイリーの粘りのピッチングの前に点は奪えずじまいだった。
 
 7回表終了後のセブンス・イニング・ストレッチには、カブスファンにとってはうれしいサプライズがあった。長年カブスの実況を務め、98年に死去した往年の名アナウンサー、ハリー・キャリーのホログラムが放送ブースから登場。実は、セブンス・イニング・ストレッチで「Take Me Out to the Ball Game」を歌う習わしはこのキャリーが始めたもので、この日はフィールドに彼の歌声がよみがえった。

 直後の7回裏、レッズは無死一、二塁でマット・レイノルズが2点タイムリー二塁打を放って2点差に迫る。だが、この後はカブスの3番手ブランドン・ヒューズが後続を3人でピシャリ。最後はボトーが見逃し三振に打ち取られ、レッズはそれ以上の追加点を挙げることができなかった。

 満月が煌々と輝く下で、試合は9回裏のレッズの攻撃に突入する。昨年は大逆転のドラマが展開されたが、この日はカブスのローワン・ウィックが完璧な投球を見せた。先頭のホゼ・バレロを空振り三振に打ち取ると、続くジェイク・フレイリーはフルカウントからセカンドゴロ。前の打席にタイムリーを放ったレイノルズも、フルカウントまで持ち込む粘りを見せるものの、最後は大きなカーブで空振り三振。3者凡退で試合に終止符を打った。

 実はこの日、もう一つ「父と子」にまつわるエピソードがあった。8回裏、解説者を務めた殿堂入りの名投手ジョン・スモルツが、自身の父がこの日亡くなっていたことを発表したのだ。スモルツは「この試合を解説しなかったら父に怒られるよ」と気丈にも中継に参加。高校生だった頃、父が自分のベースボール・カードを作って周囲に配ったエピソードなどを放送中に語っていた。

 両軍で計8本も本塁打が出た昨年とは異なり、今年は1本もトウモロコシ畑に飛び込む打球は出なかったが、また趣の異なる締まったゲーム展開となった。球場に集まった約8000人のファンは、今年も「夢のフィールド」に酔いしれたことだろう。

構成●SLUGGER編集部
 
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