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プロ野球

今年と同じく前評判は「不作」だった14年ドラフトの結果やいかに?8年経った今振り返ってみると――<SLUGGER>

出野哲也

2022.10.18

 この他、阪神も1・2位で指名した社会人投手がいずれも短期間で退団し、3位の江越大賀(駒沢大)も頭打ち。安楽を抽選で当てた楽天も、その安楽がローテーション投手にはなれず、リリーフ要員に収まっている。リリーフでも戦力になったのだから良いのでは、との意見もあるだろうが、指名時の期待を下回っているのは事実だ。

 有原の獲得に成功した日本ハムも勝ち組とは言い難い。19年に最多勝になるなど活躍した年もあった有原だが、トータルでは6年間で60勝、防御率3.74。4球団が競合した目玉級としては微妙な成績のままメジャーへ行ってしまった。

 2位以下では下級生時から名前を知られていた高校生を多数指名したが、4位の石川直也(山形中央高)はまずまずだとしても、2位の清水優心(九州国際大付高)にしろ3位の淺間大基(横浜高)にしろ、まだ確固たる地位を築くには至っていない。

 こうして全体的に見てみると、14年は確かに全体としては不作と言わざるを得ないだろう。
 
 だが、まったく実りがなかったかといえばそうでもない。山﨑や岡本和真(智弁学園高→巨人1位)、髙橋光成(前橋育英高→西武1位)、中村奨吾(早稲田大→ロッテ1位)のように、1位指名で球団の核となった選手を獲得できた球団もある。DeNAは2位で石田健太(法政大)、西武は3位で外崎修汰(富士大)を得ていて、勝ち組と呼ぶにふさわしい。オリックスも、今年のパ・リーグ2連覇に貢献した山﨑福也(1位/明治大)や宗佑磨(3位/横浜隼人高)らを指名している。

 とく「不作」と言われていた高卒選手では、高橋や宗、栗原陵矢(春江工→ソフトバンク2位)のように、数年かけてオールスター級に成長した選手がいる。松本裕樹(盛岡大付高→ソフトバンク1位)や、2位指名された楽天では花開かなかったがロッテ移籍後に好投している小野郁(西日本短大付高)も同様だ。前評判以上の成長を見せた選手も多いのだ。

 2022年のドラフトが本当に不作なのかどうか――。その答えを知るにはやはりあと10年近く待たないといけないのかもしれない。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』(いずれも言視舎)。
 

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