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プロ野球

悲願の日本一、そして黄金時代の構築へ。たった2年半で常勝チームを作り上げた中嶋采配の妙【オリ熱コラム・2022年日本一記念寄稿】

どら増田

2022.10.31

 2敗1分で迎えた第4戦。オリックス先発の山岡泰輔は粘り強い投球で5回1死まで無失点で抑えていたが、ヤクルトのポイントゲッター塩見泰隆に三塁打を打たれると、監督は迷わず宇田川をマウンドへ送った。これには山岡も首を傾げていたが、「あそこは三振が欲しい場面。他に選択肢はなかった」という指揮官の注文通り、宇田川は後続を連続三振に斬ってピンチを切り抜け、チームの勝利に貢献している。

 また翌日の第5戦では、先発の田嶋が5回に1死一、三塁のピンチを招くと、5番オスナの打席で比嘉がマウンドへ。比嘉は僅か3球でオスナを併殺打で打ち取ってピンチを切り抜けた。その後は一時逆転されたが、第2戦で打たれた阿部が魂のこもった投球を披露すると、1点ビハインドながら平野佳寿、ワゲスパックと勝ちパターンのリリーフ陣を注ぎ込んで、最終回に主砲・吉田正尚のサヨナラ弾で対戦成績をタイにした。

 この時から、ベンチの空気が明らかに変わった。この日は第4戦で2回ずつ投げた宇田川と山崎颯をベンチから外して臨んだ試合だっただけに、第6戦以降の山場に向けて、この2人を温存できたのは大きい。
 
 第6戦は、シリーズ初戦で負傷したエース山本由伸に代わり、中5日で先発マウンドに上がった山崎福が5回を無失点で抑えると、6回から宇田川、平野佳、山崎颯、ワゲスパックが1イニングずつを無安打無失点リレー。

 さらに第7戦は宮城も5回無失点。8回に山崎颯が4点を失って1点差まで迫られるが、1死から比嘉が火消しに成功すると、最終回はワゲスパックがヤクルト打線を力で寄せ付けなかった。ワゲスパックは当初、先発要員として起用されていたが、同じく新外国人のビドルと入れ替わりで中継ぎに回ったのが見事にハマり、リリーフ陣に厚みを加えた。先発が5回まで投げれば何とかなる体制を構築したのだ。

 昨年の日本シリーズ敗退を踏まえ、「我々はまだ日本で2番目です」という中嶋監督の挨拶から始まった今季は、リーグ連覇の先にある日本一を見据えたシーズンだった。実際、中嶋監督がどこまで計算していたのかは明かさないので謎だが、日本一チームを監督代行時代を含めても約2年半で作ってしまったのは事実だ。今オフは“主砲”吉田の去就やFA補強、新外国人の獲得、現役ドラフトなどが気になるところだが、現体制のもとオリックスがしばらく黄金時代を築くのは決して夢物語ではない。

取材・文⚫︎どら増田

【著者プロフィール】
どらますだ/1973年生まれ。プロ野球では主にオリックスを取材し、週刊ベースボールの他、数々のウェブ媒体でも執筆している。書籍『ベースボールサミット 第9回 特集オリックス・バファローズ』(カンゼン)ではメインライターを務めた。プロレス、格闘技も取材しており、山本由伸と那須川天心の“神童”対談を実現させたことも。
 

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