専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
高校野球

1年から異彩を放った“広陵のボンズ”のいま。NPBスカウトも注目するドラフト候補・真鍋慧の魅力はどこか?

西尾典文

2022.11.27

投手経験もある真鍋。それだけに肩の強さを利した守備力の向上も今後の成長のカギとなりそうだ。写真:滝川敏之

投手経験もある真鍋。それだけに肩の強さを利した守備力の向上も今後の成長のカギとなりそうだ。写真:滝川敏之

 とりわけ大きく変わっていたのが、構えた時のバットの角度だ。以前は頭の近くにバットを立てるようにして構えていたのだが、この時は明らかに頭から離れて、ヘッドも投手の方向を向いていたのである。今年三冠王に輝いた村上宗隆(ヤクルト)の構えをイメージしてもらえると近いものがあるだろう。

 しかし、村上が下半身から上半身にかけて力感が漂っているのに対し、この時の真鍋は明らかにしっくり来ていないように見えた。実際、米子東戦では第2打席で犠牲フライを放ったが、ノーヒットに終わっている。さらなる高みを目指して打撃改造に取り組むのは決して悪くはない。しかし、やや腕の力に頼ったスイングには不安を感じた。

 そして驚かされたのが、その後の明治神宮大会で披露したフォームだ。中国大会の時とはガラッと変わり、以前に近いスタイルに戻っていたのである。最初からバットが身体の近くにあり、タイミングをとる動作にも無駄がなくなった。2本の特大ホームランは調整の賜物のように見えた。

 短期間で打ち方を変えるのは、本人にも勇気がいったはず。それでもスラッガーとして目に見える結果を残すあたりは並みの才能ではない。あるスカウトも次のように目を見張っていた。
 
「昨年と比べても順調に成長していると思います。遠くへ飛ばす力に関しては佐々木(麟太郎)と並んで高校生ではトップですね。まだ穴はありますけど、選球眼も良いですし、厳しいボールはファウルで粘れるようになりました。選抜でも野手では再注目の選手になるでしょう」

 ただ一方で課題が見えたのも確かである。元々胸郭周りの動きに柔らかさがなく、内角高めが弱点と言われていた真鍋。この明治神宮大会でも決して速くない高めのボールを打ち損じて力のない打球になる場面が目立った。インハイの速いボールというのは大型打者が苦にする傾向にあるが、さらなる成長をするためには、そのボールをさばける対応力を上げる必要はありそうだ。

 そしてもう一つ気になるのがやはり守備面。先述の脚力に加え、投手としても140キロを超えるスピードを誇る地肩を持っているだけに、ファースト以外を守る姿を見たいと思っているスカウトも多いはずだ。将来を見通しても、守備力向上に対する意欲も見せてもらいたい。

 他にも気になる点はある。それでも「広陵のボンズ」の異名を持つ打者としてのスケールの大きさには特大の魅力があるのは間違いない。今後はより一層マークが厳しくなることが予想されるが、そんななかでもさらに成長した姿を見せて、甲子園の大舞台、そしてプロでも特大のアーチを描いてくれると期待したい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

【関連記事】三冠王の村上がベストナイン満票受賞ならず、新人王投票では大勢ではなく平内に1票…【ここがヘンだよ2022プロ野球アウォード投票】

【関連記事】大谷翔平が「地球上で最高の選手」だったからこそのMVP。ジャッジが漏らした言葉に感じたヤ軍主砲の“本音”

【関連記事】「壮大すぎて、理解し難い」2年連続MVP候補となった大谷翔平に米記者は脱帽! 屈辱が続いたエ軍には「悲劇」と糾弾
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号