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プロ野球

西武の明日を担う高卒ルーキー3人が若獅子寮へ。甲子園のスター山田は特注の枕でいきなりサービス精神を発揮<SLUGGER>

岩国誠

2023.01.08

山田(左)や野田(右)もそれぞれ枕を持参。ドラ1の蛭間も前日にオーダーメイドの枕を持ち込んでいて、みんな睡眠に気を遣っていることが分かる。写真:岩国誠

山田(左)や野田(右)もそれぞれ枕を持参。ドラ1の蛭間も前日にオーダーメイドの枕を持ち込んでいて、みんな睡眠に気を遣っていることが分かる。写真:岩国誠

 そして、甲子園での活躍が記憶に残るドラフト5位の山田陽翔投手(近江高)も、この日入寮した。電車を乗り継ぎ、たどり着いた西武球場前駅の改札を出たところで、目に飛び込んできた景色が印象的だったと語る。

「改札を出て、ベルーナドームを見た時、すごく大きさに圧倒されましたが『早くその舞台に立ちたい』と思いました」

 寮生活は初めてとなる山田。寂しがり屋だという彼が、その相棒にと持参したのが特注の枕だ。

「小学生くらいからなのですが、寝る時に上を向いて眠れないので、横向きで眠れるうつ伏せ用の枕をメーカーさんに作ってもらいました。この枕で寝違えることもなくなりました。でも、起きた時には仰向けなんですよね」

 そう話しながら、実際に寝るポーズをとった山田。サービス精神旺盛なその姿は、すぐにでもチームメートに溶け込めそうな人懐っこさを感じさせた。しかし、今後のトレーニングについて尋ねるとその表情はキリッと引き締まる。

「まだまだプロの世界で通用するほどの力を持っているわけではないので、(入寮までは)技術であったり、筋力面、体力面を強化していました。まずは、プロの練習にしっかりついていくことだと思うんですが、この時期は寒いと言うのもあるので、一番は怪我なく過ごしたいなと思っています」
 
 その山田と昨年、U-18日本代表で共に戦ったのが、ドラフト3位の野田海人捕手(九州国際大学付属高)。「1年目を怪我なくシーズンを終えられるよう、頑張っていきたい」。そう謙虚に語った野田だったが、手にしていた荷物は実にチャーミングなものだった。

「サメの抱き枕です。高校入寮のときに持っていって3年間使っていたもので、これがないと寝れないです。遠征にも持って行ったりしていました。実は口の中に腕が入るので、腕を入れてリラックスしたりしています」

 サメの口に腕を突っ込みながら嬉しそうに話すその姿は、女性ならば可愛いと感じるのではないだろうか。しかし、昨年オフにオリックスへFA移籍した森友哉捕手の話になると、その表情は引き締まった。

「自分の憧れである森さんが抜けるのは悔しいですが、そこの穴を埋める信頼されるようなキャッチャーになれるよう頑張りたいと思います。受けてみたいのは平良(海馬)投手。力強い真っ直ぐが武器だと思うのですが、その球を受けて『プロってこういうもんだ』というものを知りたいと思います」

 チームによっては、同学年の同期入団選手がいない場合もあるが、今年の西武はポジションが違う3選手が入団。そのことについて尋ねると3選手ともに「心強い」と返した。

 同期の高卒入団となると、西武では2001年に入団した栗山巧(育英高)と中村剛也(大阪桐蔭高)の生え抜きベテランコンビが思い起こされる。今では「骨(栗山)と牙(中村)」と称され、チームの絶対的存在となっている。

 それぞれ独特の個性を持つ3人の高卒ルーキーが、お互いを刺激しあいながらどのような成長を遂げていくのか。新しいライオンズの歴史が始まる瞬間なのかもしれない。

取材・文●岩国誠

岩国誠(いわくにまこと):1973年3月26日生まれ。32歳でプロ野球を取り扱うスポーツ情報番組のADとしてテレビ業界入り。Webコンテンツ制作会社を経て、フリーランスに転身。それを機に、フリーライターとしての活動を始め、現在も映像ディレクターとwebライターの二刀流でNPBや独立リーグの取材を行っている。
 

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