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プロ野球

「大事なのは下半身ファースト」西武の高卒ルーキー山田陽翔が初のブルペン入りで見せた“泰然自若”<SLUGGER>

岩国誠

2023.01.23

 ピッチングの途中で屈伸運動を入れていたのは、やはり下半身への意識からだろうか。

「1球、上半身投げになったなと思ったところがあったので、(屈伸運動を)1回はさんで『下半身で投げるんだぞ』と言い聞かせて投げました。やはりマウンドが硬い分、どうしても上半身投げになってしまうところがあると思うので、そういった部分をなくすように、下半身ファーストでいけるように、っていうのは意識していきました」

 時折上に抜けるボールもあったが、投球の力強さは端から見ていても十分に感じられた。投球を見守っていた清川栄治ファーム投手総合コーチは「今はこれくらい投げられたらいい。まだまだやることはあるが、コントロールで困ることはなさそう。座学も熱心だし、性格も前向き」と目を細める。

 山田はピッチングを終えると、相手を努めた野田に「ありがとう」と声をかけ、体幹強化メニューへ入った。ファンの目の前でのトレーニングとなったこのメニューでは、メディシンボールをS&C担当スタッフの遙か頭上に投げてしまうヤンチャな一面を見せた。

「力入れ過ぎちゃいました」と照れ臭そうに笑っていたが、気力、体力共にそれだけ元気な証拠だろう。初の寮生活だが、食事もしっかり取り、入寮時に持ち込んだうつ伏せ用の枕で、睡眠もしっかり7時間取っているという。順調にきている分、気になるのは次のブルペン入りだ。
 
「(25日からの)第5クールでもう一回、ブルペンに入れたらいいなとは思いますが、そんなに急いで入らなくても、そのあとの自主練習期間でもブルペンには入れるかなと思っています。やはり、最初は速い球を投げることだったり、そう言ったところにもこだわらないといけないとは思うんですが、今はそこではなく、フォームだったりとかをしっかり確認することが一番。今日もそう思って投げていました」

 泰然自若。取材を受ける山田の言葉からは、アピールしたい気持ちを抱えながらも、慌てることなく自らがやるべきことをしっかり理解し、着実に一歩ずつプロへの階段を登ろうという意識が感じられた。そんな姿を見ていると、高卒ルーキーであることを一瞬忘れてしまう。早くマウンドで躍動する姿を見たくなるところだが、プロ生活はまだ始まったばかり。いろんなことを吸収し、大きく羽ばたくその瞬間が来ることを今は待ちたいと思う。

取材・文●岩国誠

岩国誠(いわくにまこと):1973年3月26日生まれ。32歳でプロ野球を取り扱うスポーツ情報番組のADとしてテレビ業界入り。Webコンテンツ制作会社を経て、フリーランスに転身。それを機に、フリーライターとしての活動を始め、現在も映像ディレクターとwebライターの二刀流でNPBや独立リーグの取材を行っている。
 

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